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2012年第3四半期のドラマ [ドラマレビュー]

2012年の第3クール、私が視聴したドラマの一覧と評価です。
NHKのドラマが変則的なので、まだ放送中の作品もありますが、それらについても暫定的な評価を記載しています。
また、恒例となっております、私の独断と偏見で決定した各賞を発表するとともに、それぞれ寸評を併記しています。

TermTitleKey StationCastScriptC.D.RatingOwn Rating
3浪花少年探偵団TBS多部未華子、小池徹平吉田紀子清弘誠 6.13%★★★☆☆
リッチマン,プアウーマンフジテレビ小栗旬、石原さとみ安達奈緒子西浦正記12.40%★★★★
息もできない夏フジテレビ武井咲、江口洋介渡辺千穂河野圭太9.79%★★☆☆☆
つるかめ助産院NHK仲里依紗、溝端淳平水橋文美江佐々木章光8.12%★★★★
眠れる森の熟女NHK草刈民代、瀬戸康史篠﨑絵里子渡邊良雄6.44%★★★★★
トッカン-特別国税徴収官-日本テレビ井上真央、北村有起哉いずみ吉紘水田伸生10.50%★★★☆☆
東野圭吾ミステリーズフジテレビ(詳細はこちら8.42%★★★☆☆
薄桜記NHK(BS)山本耕史、柴本幸ジェームス三木清水一彦-★★★★
負けて、勝つNHK渡辺謙坂元裕二 柳川強8.46%★★★★
サマーレスキューTBS向井理、尾野真千子秦建日子日比野朗10.06%★★☆☆☆
 ※ タイトルを一部省略して表記している作品がある。 ※ 脚本担当者が複数いる作品については、トップクレジットを表記した。
※ 視聴率は全話の加重平均値(ビデオリサーチ社、関東地区)。

ジャニスカ的最優秀作品賞
 該当作品なし 

【 作品 】 当クールはズバ抜けて優れた作品はありませんでしたので、残念ながらこういう形とさせていただきました。上記作品の中で相対的な評価をすれば『リッチマン、プアウーマン』(フジテレビ)が最上位となりますが、過去2クールで最優秀とした作品とのバランスを考慮すると、やはり絶対評価とするのが望ましいと考えました。ただ、純粋に私個人の気持ちを述べれば、今クールで一番好きなドラマは?と訊かれれば、迷わず『リッチマン、プアウーマン』と答えます。私の世代は「月9=ラブストーリー」という意識が強いですから、この枠といえばこういうテイストの作品への欲求が強いです。近年の「月9」でも年に1、2本はラブストーリーが制作されていますが、とても私の欲求を満たしてくれるようなクオリティではなく、もうラブストーリーを観てもかつてのようなドキドキ感を味わうことはないのかもしれないと諦めかけていました。また、それは作品のクオリティせいではなく、自分自身が年を重ねたせいなのかもしれないとも感じていたのですが、そうではないということをこのドラマが教えてくれました。若い主人公二人に大いに感情移入し、大いにドキドキさせてもらいました。「月9」の黄金期がとっくの昔に過ぎ去った現在でも、ちゃんとセオリーを知っている人が作れば、良質なラブストーリーを作ることは可能だということがよくわかりました。次点は『薄桜記』(NHK)です。考えてみたら、正統派時代劇であると同時にこちらもラブストーリーでしたね。もちろんアプローチや結末はまったく異なりますが、この2作品における主人公二人の関係性について言えば、描かれたものの本質に大差はないと私は考えています。

ジャニスカ的最優秀脚本賞
 該当者なし 

【 脚本 】 こちらもおのずと作品賞に準じる形となります。ただし、『リッチマン、プアウーマン』の安達奈緒子さんが信頼できる脚本家のひとりであることを確認できたのは大きな収穫でした。このブログをずっと読んでくださっている方ならご存知のことと思いますが、私は安達さんの前作『大切なことはすべて君が教えてくれた』の脚本のことをボロクソに書きました。でも実はその直後に安達さんのデビュー作をたまたま拝見する機会がありまして、それ以来、安達さんの実力をこのドラマのみで評価するのは早計だったかなと思い始めて、密かに次回作を待望していたところがあります。それで蓋を開けてみたら「やっぱり」どころか、往年の月9ラブストーリーのセオリーという意外な作風を放り込んできたので、度肝を抜かれた感じです。こういう古き良き時代のラブストーリーの形式を使いこなせる脚本家が出てきてくれたことは素直に嬉しいことです。次回は今回とは別のプロデューサーとの仕事で、また違った作風の作品を拝見したいものです。その他ではまだ放送中ではありますが、『つるかめ助産院~南の島から』の水橋文美江さんと『眠れる森の熟女』の篠﨑絵里子さんは流石だよなという思いで見ているところです。

ジャニスカ的最優秀監督賞
 西浦正記・田中亮
(『
リッチマン,プアウーマン』)
 

【 演出 】 『リッチマン,プアウーマン』の演出は、抜きん出て良かったです。西浦正記監督はもともと絵作りが巧くて編集テクニックのある方ですが、セカンドの田中亮監督もまったく遜色のない映像を見せてくれたし、それどころか独特の演出ポリシーをお持ちのようで、個人的にはあっと驚くような演出を多数見せてもらったという感想を持っています。ツイッターでも何度かつぶやいたとおり、とにかく主題歌の使い方が独特で、物語終盤の盛り上げ方が特に上手な方です。今後の活躍が楽しみな若手ディレクターです。

ジャニスカ的最優秀主演男優賞 ジャニスカ的最優秀助演男優賞
小栗旬
(『
リッチマン,プアウーマン』)
 井浦新
(『リッチマン,プアウーマン』)
<優秀主演男優賞>
山本耕史
(『薄桜記』)
 <優秀助演男優賞>
北村有起哉
(『トッカン-特別国税徴収官-』)

【 男優 】 小栗旬くん(『リッチマン,プアウーマン』)は、主演俳優としてはまさに今が旬と言ったところでしょう。ちょっとした仕草から目の動きに至るまで彼自身の計算を感じさせる繊細なお芝居が健在で、物語の中心で作品を引っ張っていく存在感とそれを裏打ちするお芝居の上手さはまさしく主演の器です。山本耕史さん(『薄桜記』)は正統派時代劇で危なげなく主演を張れる若手俳優として貴重な存在です。殺陣や所作についてはもちろん確かなものがあるし、それに加えて彼の凛とした表情は剣に生きる武士に毎度毎度見事にはまります。井浦新さん(『リッチマン、プアウーマン』)は要らぬ裏読みをしてしまうほど、奥行きのある役作りを見せてくれました。そのたたずまいだけで「何かある」と思わせてしまう俳優さんはそう多くはいません。北村有起哉さん(『トッカン-特別国税徴収官-』)はここまで露出の多い役柄は初めてだったと思うのですが、改めてシリアスからコメディまでジャンルを問わず何でもできるタイプの俳優さんだと感じました。この方の使いどころはドラマプロデューサーの手腕が試される部分かもしれません。

ジャニスカ的最優秀主演女優賞 ジャニスカ的最優秀助演女優賞
多部未華子
(『浪花少年探偵団』)
 柴本幸
(『薄桜記』『東野圭吾ミステリーズ』)
<優秀主演女優賞>
石原さとみ
(『
リッチマン,プアウーマン』)
井上真央
(『トッカン-特別国税徴収官-』)
  <優秀助演女優賞>
尾野真千子
(『サマーレスキュー~天空の診療所~』)

【 女優 】 現在の年齢が20代半ばにある世代の女優さんはとても層が厚くて、主演級の実力を持つ女優さんが何人もいるのですが、今クールは私が視聴しなかった作品も含めて注目の女優さんが顔を揃えました。これは予てからの評価でもあるのですが、その中でも多部未華子ちゃん(『浪花少年探偵団』)は多彩な表現力を兼ね備えていて、シンプルに見ていて飽きない女優さんです。これは主演女優に必須の要件と言えるでしょう。常に彼女でなければ成立しない唯一無二とも言える役柄の存在感を表現してしまう子です。石原さとみちゃん(『リッチマン,プアウーマン』)と井上真央ちゃん(『トッカン-特別国税徴収官-』)も流石と思わせる主演女優の存在感があったし、このお二人も魅せる芝居ができる女優さんです。柴本幸ちゃん(『薄桜記』)は、今もって『風林火山』の由布姫の鮮烈な印象が忘れられないのですが、やはり時代劇向きの落ち着いた雰囲気を表現できる女優さんです。江戸時代の武家の女性の立場や価値観とは独特なものがあると思うのですが、それらを的確に理解してお芝居しているのが伝わってきます。尾野真千子ちゃん(『サマーレスキュー~天空の診療所~』)のお芝居についてはすでに詳しく言及しておりますのでそちらをご覧ください。

関連記事 :  (2012-3)ドラマ期待度ランキング (2012-07-03)
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サマーレスキュー~天空の診療所~ [ドラマレビュー]

2012091213.jpg 

『 サマーレスキュー ~天空の診療所~ 』
最終回
( 2012年 TBS=ジ・アイコン 全10回 公式サイト
 )
演出:日比野朗 脚本:秦建日子 出演:向井理、尾野真千子、時任三郎、笹野高史、松重豊

最終回が映画『岳-ガク-』の放送とかぶっていたとは皮肉なものです。
同じ山の事故を題材にした作品で、こんなにも差がついてしまったのは、脚本家の力量差と断じてしまっていいでしょう。
確かに『岳-ガク-』には良質な漫画原作が存在しているわけですが、私はエピソードの取捨が見事だったと思っています。
特にこのブログの当作品のレビューをヒットした検索ワードとして、「フォール」が極端に多かったという事実は、
それだけ「山で営まれている真実」が観る者に与えた影響はショッキングだったということだと思います。
私は人の心を打ち、末永く心に刻まれる作品とはフィクションの中にも現実が巧みに織り込まれていると考えています。

それに対して実話を基にしているという本作が描いた「現実」とは何だったのでしょうか?
もちろん山の診療所が存続の危機に立たされているという状況は現実に存在しているのでしょう。
しかし、一方で沢口先生(松重豊)が提示した現実(医療従事者や病院予算の不足)もまた確かに存在するのであって、
私はこの二つの現実の軽重は、本編でも描かれたとおり簡単に決められるものではないと考えています。

それなのにこのドラマが選択した結論は、
地上の医療の現実なんか知ったことではない、山の診療所の存続が第一だ、というものでした。
山の診療所が倉木(時任三郎)の尽力で存続にこぎつけたことをどうこう言うつもりはありません。
しかし、この一件で倉木という有能な医師を失った明慶大学病院の現実はどうなってしまうのでしょうか。
さらに、1年後の稜ヶ岳にあろうことか前年とそっくり同じメンバーが顔を揃えてしまうとなると、
いよいよこのドラマの作り手は地上の現実なんてどうでもいいと考えていることがはっきりします。
山の診療所を廃止に追い込んだ沢口先生の主張とは本当にそこまで蔑(ないがし)ろにしていいものなのでしょうか?

倉木が大学病院を辞めて山の診療所を建て直すことを宣言した時、研修医たちが自分たちも手伝いたいと申し出ます。
私はこの時の倉木が彼らの申し出を笑顔で受け入れたことをとても意外に思いました。
私はてっきり倉木ほどの人物ならば「お前らは一人前になってから山に来い」ぐらいのことを言うに違いないと思っていました。
このドラマはそういう形で「二つの現実のバランス」をとるものだと考えていたからです。
そして挙句の果ては速水(向井理)までもが研修を中断して、1年後には山の診療所に復帰してしまうのです。

よく思い出していただきたいのですが、速水の海外研修の目的は将来地上でより多くの命を救うためだったはずで、
彼は山の診療所の存続を訴える一方で、もうひとつの現実も受け入れていたのです。
つまり、速水という医師は「現実的なバランス感覚」を保持したもっともクレバーな存在として描かれてきました。
しかし、医療という専門技術の研修中に1シーズンも帰国するなどクレバーな人間のすることではありません。

私はこのドラマの結末は速水が研修を終える3年後でも何の問題もなかったのではないかと考えています。
倉木が診療所の復活に要する期間はそれぐらいの方が現実的で、説得力があるし、
研修医たちが一人前の医師になったことも描けるでしょう。さらに速水と遥の関係を深化させて描くことも可能となります。

確かにあのラストシーンには速水の存在は不可欠でしょう。
しかし、彼の登場によって「二つの現実のバランス」は決定的に崩壊しました。
私は、一方の現実を手放しで賛美するこのドラマの結末が嫌いです。 

(了)

関連記事 : サマーレスキュー 第8回 (2012-09-12) 

  • e97h0017e97h0017TBS『サマーレスキュー~天空の診療所~』第1回。ジ・アイコンの完パケ。オープンセットとは思い切った。マテリアルに頼らないアナログな医療とはテレビドラマではなかなか新鮮かもしれない。本作のテーマは「患者さんの手を握って声をかけることが医療の第一歩」という遥の言葉に集約できそうだ。07/10 00:33
  • e97h0017e97h0017登場人物の個性がしっかりと描かれた第1話だった。速水と遥は一見して相容れない性格だが、速水はおそらく見かけよりも素直だと思う。ただ主人公に欠けている資質はわかりやすすぎるし、やや目新しさも欠く。これに関しては早いところ克服して新展開を期待したい。遅かれ早かれ閉鎖の危機はありそう。07/10 00:39
  • e97h0017e97h0017『サマーレスキュー』第2回。遥の正義感の強さに対する裏づけが乏しいので、感情に任せて速水を責める姿が白々しい。父親の口から彼女の生い立ちなどを語らせて人間味を付与していかないとエピソードを見せるためだけのキャラクターと化してしまう。遥は速水と同様、根は優しくて素直な子だと思うが。 07/18 20:19
  • e97h0017e97h0017夕日で無影燈か。そんなにうまくいくかなとも思うが、それを言ったらドラマは成立しない。それよりも取り巻きに「すごい」とか「無影燈みたい」などと言わせてしまう方がドラマとしては問題だ。台詞で言えばそうなるという考え方は今すぐ止めた方がいい。映像技術を駆使して説得力を与えるべき領域だ。 07/18 20:25
  • e97h0017e97h0017『サマーレスキュー』第3回。研鑽した技術と最高の設備をもってしても救えない命があることを知った速水が選ぶべき道はもはや海外研修ではない。もちろん山だったわけだ。速水は今、機械や技術ではなくて人間と向き合う医療に飛び込もうとしている。ここまではほぼ予想通りの展開。次回からが本番だ。07/24 20:44
  • e97h0017e97h0017向井理くんはどうやら「弱みを見せる芝居」が得意ではないようだ。速水が母親を救えなかったショックとは彼の外科医としてのキャリアを全否定する程のものだったはずだが、母親を亡くした悲しみ以上のものは映っていなかった。彼の気持ちの切り替えはもっと振り幅の大きい芝居で表現されるべきだった。07/24 20:53
  • e97h0017e97h0017『サマーレスキュー』第4回。速水と遥が井上のことを賞賛していたが、彼は体を押さえつけていただけだよね。そもそも山案内に同行したのが遥だったのがよくわからない。嫌々ながら同行した井上が適切な処置で元上司の命を救ったという流れでよくないか。井上は自分の意思で劣等感を克服すべきだった。08/07 20:44
  • e97h0017e97h0017山で事故を起こすのは本当にバカだけなんだろうか。どんなに山に精通している人間にも事故のリスクが付きまとうのが本当の意味での山の怖さだろう。わかりやすいのは結構だが、もっと山の本質に迫ったエピソードが欲しい。これでは既成の医療ドラマの焼き増しであって、山を舞台にしている意味がない。08/07 20:50
  • e97h0017e97h0017私は新田次郎の山岳小説と呼ばれるジャンルが好きで昔は随分沢山読んだ。山とは人間の本性を炙り出すには格好の舞台であり、本来人間ドラマの宝庫なんだよ。それなのにこのドラマの作り手は「バカ」を持ち出して常識の範囲でエピソードを作ろうとする。少なくとも本気で山を取材しているとは思えない。08/07 21:00
  • e97h0017e97h0017『サマーレスキュー』第5回。今回から遥の表情が一変した。ラブ要素を強調していくドラマだとは思っていないが、遥の中に速水に対する尊敬の念が芽生えているのは間違いないし、その過程は描けている。エピソードと別次元の評価として、登場人物の感情が一様に素直で裏がない点には好感を持っている。08/24 23:01
  • e97h0017e97h0017今回は遥の両極端な感情を表現する尾野真千子ちゃんの表情のお芝居に注目していただきたい。初回以来神経質な面を顕わにしてきた遥の表情は、速水によって本来の柔らかさを取り戻した。しかし下界で現実に向き合うとすっかり元に戻ってしまう。二人の男に対してまったく異質な感情が沸き上がっている。08/24 23:07
  • e97h0017e97h0017『サマーレスキュー』第6回。まるで持ち駒を消費するかのようなエピソードが続く。そして偶然でも必然でもなく、脚本家が頭の中でこねくり回したにすぎない事故が性懲りもなく発生する。挙句は時任三郎さんに「偶然」を強弁させてしまうのがこのドラマのクオリティ。もっと真剣に山の事故を取材せよ。08/29 23:56
  • e97h0017e97h0017『サマーレスキュー』第7回。まるでけが人が順番待ちしているかのようなドラマ。「危ないから気をつけて」という台詞が出たらドラマの中だけに存在できる偶然でも必然でもない事故発生。パパスキップで足滑らすとこって笑うとこでOK?このドラマには確かに神様がいるようだ。脚本家という名の神が。09/03 20:57
  • e97h0017e97h0017『サマーレスキュー』最終回。言いたいことは山ほどあるが粗探しは慎もう。ひとつ言えることは劇作家出身の脚本家は現実的視点や自身の生身で得た取材の投影を欠く印象が強い。小さなリアリティの積み重ねで大きな嘘をつくのがフィクションの鉄則なのに、ただの大嘘つきになっている。実話に甘えたな。09/25 21:03
  • e97h0017e97h0017ただし主人公とヒロインの人物および成長描写、二人の関係性の変遷については終始好感を持って観ていた。私は主人公の未来を想像できる最終回こそが良作の条件と考えていて、その点は達成されたと思う。速水と遥の強固な精神的つながりが最終的に描かれたので、視聴者の想像は間違っていないだろう。09/25 21:28

 


東野圭吾ミステリーズ [ドラマレビュー]

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『 東野圭吾ミステリーズ 』
( 2012年 フジテレビ 全11回 公式サイト )

『東野圭吾ミステリーズ』各話を採点しました。
私が個人的主観で勝手に評価しただけのことですので、あまり深い意味はないとうことを前提にご覧ください。
 

TitleMain CastScriptDirectorProducerRating
※2
 My Own Rating
脚本演出キャストTotal
(11)再生魔術の女鈴木京香篠﨑絵里子河毛俊作小池秀樹6.2% 55515
(8)小さな故意の物語三浦春馬川崎いずみ並木道子石井浩二7.6% 55414
(1)さよならコーチ唐沢寿明高橋幹子※1河毛俊作小池秀樹 11.3% 54514
(10)二十年目の約束篠原涼子川崎いずみ宮本理江子石井浩二 7.5% 54413
(2)犯人のいない殺人の夜坂口憲二ひかわかよ澤田鎌作小池秀樹 7.8% 44412
(7)白い凶器戸田恵梨香川崎いずみ林徹石井浩二 7.9% 44412
(5)甘いはずなのに反町隆史坂口理子小林義則小椋久雄9.1% 44412
(6)シャレードがいっぱい長澤まさみ鎌田哲郎※1石井克人和田倉和利8.9% 43411
(3)エンドレス・ナイト 松下奈緒田辺満 河野圭太小椋久雄 8.8% 43411
(4)レイコと玲子観月ありさ川村泰祐※1川村泰祐和田倉和利 7.8% 3238
(9)結婚報告広末涼子寺田敏雄村上正典小椋久雄 8.9% 3227
※1 脚本担当者が複数いる回についてはトップクレジットを表記した。 ※2 視聴率は、ビデオリサーチ社調べ(関東地区)。

良質な原作があると言っても、クオリティには当然ばらつきがあるはずなので、
脚本の評価は担当者の技量と一致しないかもしれません。映像化向きの原作にあたらなかった人もいるでしょう。
また、こうやって一覧にしてみるとよくわかるのですが、特に質の高い原作をフジテレビが制作し、
それ以外を共同テレビとシネバザールで制作したという図式もありそうなので、その点には十分ご留意ください。
当番組は小池秀樹Pの企画ですので、思い入れの強い作品を自らプロデュースするのは当然のことでしょう。

逆に演出に関してはシビアに採点したつもりです。あくまでも「ミステリーの演出」という観点から評価しました。
私としては当初から今回の企画最大のみどころは、いろんなタイプのディレクターの演出をミステリーという同じ土俵で、
わかりやすい形で比較できる点だと考えていたので、特に演出的観点からは大変興味深く拝見させていただきました。

原作のクオリティにばらつきがあるはずだと申し上げたのですが、とは言っても東野圭吾の作品から選抜しているわけですから、
元来どの作品もデフォルトで面白いはずなのです。つまり、各作品の質には高いレベルでのばらつきがあるということです。
それでも下位2作品の評価が特に低くなってしまっているのは、掛け値なしで演出のせいだと言っていいと思います。
はっきり申し上げて下位のお二人は、ミステリーを撮るのが上手ではないです。
ただし、ジャンルによって得手不得手がある場合もあるので、
これのみをもってディレクターとしての力量にレッテルを貼るつもりはありません。
特に川村泰祐監督は「のだめ」や「全開ガール」に代表されるコメディ作品で定評のある方です。

ただ、そうは言っても本当の意味で実力のあるディレクターは、
どんなジャンルでもしっかりと実力を発揮するもので、やっぱりベテランの河毛俊作監督は流石でした。
特に音の使い方が秀逸で、音楽で盛り上げないミステリーはミステリーではない、とまで感じました。
「さよならコーチ」もすごく良かったのですが、ミステリーの演出としては「再生魔術の女」がシリーズ最高の出来だったように思います。音楽によって一連の張り詰めたものを演出し、鈴木京香さんのお芝居にグイグイ引き込まれていくのを実感しました。

「小さな故意の物語」は、そういう意味での王道のミステリー演出からは外れていたのですが、
青春時代の淡い恋心や、まさに「小さな故意」という人間の繊細な心情にスポットライトを当てた作品でしたので、
純粋なミステリー作品とは一線を画していたと思います。一言で言えば、私がもっとも好きなタイプのエピソードでして、
青春時代の男女の近くて遠い距離感とそれに基づく気持ちの齟齬が生み出す切なさが巧みに切り取られていたと思います。
また、冒頭とラストでまったく同じシーンをまったくの別角度で見せることによって、
それまで目に見えなかった「あの瞬間」の3人の心情をすべて明らかにする演出的仕掛けは見事でした。

それと、ちょっと評価に困ったのは石井克人監督の「シャレードがいっぱい」で、
以前つぶやいたとおり、かなりの変化球だったので、ミステリー演出としての評価は「不能」と言った方がいいかもしれません。
当回については賛否両論あるとは思いますが、私としてはこういう遊び心のある回があってこその企画だったと思っているので、
むしろその挑戦を賞賛したいと思います。それにしても安藤政信さんはかっこよかったですねー。
テレビに出てくれてありがとうです。これも石井監督でなければ実現しなかったキャスティングでしょう。

最後にキャストについて言及しますと、鈴木京香さんが圧倒的でしたね。これは誰も異論ないと思います。
メインキャスト以外のところでは「さよならコーチ」の田中麗奈ちゃん、「甘いはずなのに」の加藤あいちゃん、
「シャレードがいっぱい」の安藤政信さん、「小さな故意の物語」の波瑠、などが特に印象に残っています。

<参考>
フジテレビの小池秀樹プロデューサーのインタビューです。美大出身というのは驚きました。
http://dogatch.jp/interview/tsukuruhito/index.html?bclid=p-int_no.123

  • e97h0017e97h0017「東野圭吾ミステリーズ」第1回と最終回の演出を担当した河毛俊作監督のインタビューです。トレンディドラマの創成に貢献したディレクターの一人でフジテレビでは永山耕三監督と並び称されるベテラン監督です。私はお二人の作品からドラマ演出を学びました。http://t.co/Q7i34vBu 08/02 20:40
  • e97h0017e97h0017映画のお話がちらほら出てくるところが河毛演出のバックボーンかなと思います。また鈴木京香さんについて「演出の基本は、距離感と間合いだと思うのですが、言葉や台本と相反する距離感を感じてもらえる」という部分は映像表現の真髄とでも言うべきもので、河毛作品によく表れている要素だと思います。 08/02 20:48
  • e97h0017e97h0017『東野圭吾ミステリーズ』ナビゲートパート第5話までの完全版です。これはそれぞれのエピソードのアバンに位置するから意味があるのであって、こういう形で観るものではないようだ。頭から通して見直してみるとストーリーが破綻している。さすがは森ハヤシ。http://t.co/bErbYuLs 08/10 23:26
  • e97h0017e97h0017部下から愛されていると言える関係なら横領なんかされないし、本人が疑うのもおかしい。洗いものを手伝っていたというが、奥さんは自分のために料理を作ったことがないと言う。それで家族からも愛されていたなんてよく言えたもんだ。学生劇団レベルの本だ。中井貴一さんじゃなかったら見てられないよ。08/10 23:34
  • e97h0017e97h0017『東野圭吾ミステリーズ』は興味深い試みだ。同じジャンル同じテイストなのでディレクターの演出の特徴がよくわかる。やっぱりミステリーが下手な人もいる。かつて三谷幸喜脚本を毎回異なる監督が演出する「三番テーブルの客」というドラマがあったが、あれは監督が露骨に差別化を意識してたからなぁ。08/13 20:14
  • e97h0017e97h0017石井克人監督『シャレードがいっぱい』。予想を遥かに上回る変化球だった。ミステリーっぽくない遊び心が満載だったが、ラストのブッキーの登場によって一気に東野圭吾らしい人間ドラマに到達させたのは見事。初めて原作を読みたいと思った。映画監督のクリエイティビティがよくわかる回だったと思う。08/16 23:04
  • e97h0017e97h0017『小さな故意の物語』の演出は宮本理江子監督だと思い込んでいたんだが、変更になったのかなぁ。確認したら2ヶ月前にブログにもそう書いてるんだよな。まぁ勘違いかも知らん。でもストーリー的にも演出的にもシリーズ最高の出来だったと思う。最終的に「悲恋の話」に落とすところが東野圭吾のすごさ。09/03 22:41
  • e97h0017e97h0017『東野圭吾ミステリーズ』のナビゲートパートの出来はひどすぎた。第1話で提示したケチャップがどんでん返しを演出する仕掛けにご満悦かもしれないが、「餃子にケチャップ」は強引過ぎる。それにオムライスでは足りないから餃子を追加だと?もっともそういう人間なんだと言い張られたら黙るしかない。09/22 10:45


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  • e97h0017e97h0017映画におけるキャラクター表現を全然わかっていない人間の疑問だな。的外れもいいとこだ。これではこの映画の笑いどころをすべて理解できているかは甚だあやしい。いや結末さえも表面的な結果を見てわかったつもりになっているだけだろう。三谷式コメディに慣らされている人間にはレベルが高すぎたか。09/22 09:23
  • e97h0017e97h0017『東野圭吾ミステリーズ』のナビゲートパートの出来はひどすぎた。第1話で提示したケチャップがどんでん返しを演出する仕掛けにご満悦かもしれないが、「餃子にケチャップ」は強引過ぎる。それにオムライスでは足りないから餃子を追加だと?もっともそういう人間なんだと言い張られたら黙るしかない。09/22 10:45
  • e97h0017e97h0017今日の『新・週刊フジテレビ批評』は洋画が低迷する日本映画市場がテーマ。根本的な疑問として洋画は復活させなければならないものなの?興行収入トップ10のうち8作品までもがテレビ局製作という現状でテレビが洋画の宣伝なんかするわけがない。むしろ日本のコンテンツを海外に売り込む時代だろう。09/22 12:00
  • e97h0017e97h0017ただし洋画を映画館ではめったに観ない私でも『最強のふたり』は観るつもり。考えてみると、ダスティン・ホフマンとロバート・デ・ニーロとトム・クルーズの3人には映画の根源的魅力を教わった。それと今年急逝されたトニー・スコット監督。めずらしく今年は『戦火の馬』に続いて洋画は2本目となる。09/22 12:05
  • e97h0017e97h0017『スタジオパークからこんにちは』ゲスト綿矢りさ。「蹴りたい背中」しか読んだことがないにわかなんだが、彼女がテレビ出演する時は必ずチェックする。その度にこの子と友達になりたいと思う。会話の端々に独特な表現が出現して実に楽しい。いかにも京都出身の女の子っぽい雰囲気も大好きなんだよな。09/22 12:55
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  • e97h0017e97h0017『マツコ&有吉の怒り新党』、今週の「新・3大○○」は感動編だった。ヤクルトスワローズ・伊藤智仁投手(現・投手コーチ)のデビューは野球少年の目にはあまりにも鮮烈だった。しかし彼の「引退試合」の風景を知っている人間がどれだけいたことだろう。こういう映像を見せてくれる番組は貴重である。09/22 13:55
  • e97h0017e97h0017それにしても当コーナーへのリクエストナンバー1が伊藤智仁投手だったと言うんだから、この番組の視聴者の質は侮れないよ。09/22 13:58
  • e97h0017e97h0017キターーーーーッ!まるでシリーズ化しそうな雰囲気じゃないか。フジテレビのそれ系ドラマは「白線流し」以来途絶えていたからな。中井貴一×小泉今日子×岡田惠和×宮本理江子・・・最強。 http://t.co/u3VdhexC 『最後から二番目の恋 2012秋』 - とれたてフジテレビ09/22 20:00
  • e97h0017e97h0017NHK『ドラクロワ』。夏菜ちゃんは茶髪のイメージが強かったから朝ドラ仕様の落ち着いた雰囲気が新鮮。映画「君に届け」で彼女の存在を知ったのだが、そこに至るまでの下積みの話は彼女が信頼に値する女優さんであることを物語っている。私は朝ドラの「昭和モノ」が苦手なので3期ぶりの視聴となる。09/22 20:56

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  • e97h0017e97h0017内田けんじ監督『鍵泥棒のメソッド』。本作りに費やした時間は1年や2年ではあるまい。推敲に推敲を重ね、計算に計算を尽くした見事なコメディである。本作を観た後ではM氏のコメディが安っぽくさえ見える。喜劇に精通した俳優陣のクレバーな芝居もさることながら、演出的な見せ方も雲泥の差がある。09/21 20:02
  • e97h0017e97h0017タイトル明けから始まるコンドウの仕事の見せ方に一気に引き込まれた。香川照之さんの淡々とした芝居をシンプルなカメラの動きのみで捉え続け、数分間に渡って緊張感を維持する。私は昔から映画監督としてのM氏を胡散臭いと思っているのだが、長回しとはこういう場面で使うのが最も効果的なのである。09/21 20:10
  • e97h0017e97h0017川村泰祐監督『ひみつのアッコちゃん』。アッコちゃんがアニメよりもずっと子供らしかった点に好感を持っている。子供の発想とは「早稲田大学算数学部」なのである。子供の思考を徹底的に突き詰めて練り上げられた脚本だった。こういうタイプの映画制作に真摯に取り組む大人たちがいることに感動する。09/21 20:41
  • e97h0017e97h0017観覧車のシーンを見て思った。岡田将生くんの美男子ぶりは、20代前半の福山雅治さんに比肩する。芝居、ルックス、人格・・・あらゆる面で逸材である。09/21 20:45
  • e97h0017e97h0017脚本と演出の仕事の違いも区別が付かないレベルの子だったのか。それとも読解力に乏しいかだな。140文字で自分が感じたことが端的に伝わるように書いているつもりなんだがな。まぁ私の表現力の至らなさもあるんだろうし、他人のツイートなんてそこまで真剣に読まないわな。どちらにしても残念だよ。09/21 22:29