(2013-4)ドラマ期待度ランキング [ドラマプレビュー]
今秋に放送される連続ドラマの期待度ランキングです。各ドラマの期待度を以下の4段階で表示しています。
★★★:絶対観る / ★★☆:観る / ★☆☆:初回を観る / ☆☆☆:観ない |
Pre-rating | Slot | Title | Station | Main Cast | Script | Chief-Dir. | Production |
★★★ | 水22 | リーガルハイ | フジテレビ | 堺雅人、新垣結衣 | 古沢良太 | 石川淳一 | (共同テレビ) |
★★★ | 金23 | 都市伝説の女 | テレビ朝日 | 長澤まさみ、溝端淳平 | 後藤法子 | 塚本連平 | MMJ |
★★★ | 日22 | ハードナッツ! | NHK(BS) | 橋本愛、高良健吾 | 蒔田光治 | 河合勇人 | 東宝 |
★★☆ | 水22 | ダンダリン 労働基準監督官 | 日本テレビ | 竹内結子 | 秦建日子 | 佐藤東弥 | (アックスオン) |
★★☆ | 火22 | ガラスの家 | NHK | 井川遥、斎藤工 | 大石静 | 渡邊良雄 | - |
★★☆ | 火23 | 黒猫、ときどき花屋 | NHK(BS) | 平愛梨、林遣都 | 鈴木しげき | 森雅弘 | アックスオン |
★★☆ | 月20 | 刑事のまなざし | TBS | 椎名桔平 | 岩下悠子 | 鈴木浩介 | (ドリマックス) |
★☆☆ | 火21 | ミス・パイロット | フジテレビ | 堀北真希 | 櫻井剛 | 澤田鎌作 | - |
★☆☆ | 月21 | 海の上の診療所 | フジテレビ | 松田翔太、武井咲 | 徳永友一 | 中江功 | - |
☆☆☆ | 木21 | 夫のカノジョ | TBS | 川口春奈、田辺誠一 | 江頭美智留 | 二宮崇 | ホリプロ |
☆☆☆ | 木21 | ドクターX 外科医・大門真知子 | テレビ朝日 | 米倉涼子 | 中園ミホ | 田村直己 | ザ・ワークス |
☆☆☆ | 土21 | 東京バンドワゴン | 日本テレビ | 亀梨和也 | 大森美香 | 狩山俊輔 | (オフィスC) |
☆☆☆ | 火22 | よろず占い処 陰陽屋へようこそ | 関西テレビ | 錦戸亮、倉科カナ | 黒岩勉 | 土方政人 | 共同テレビ |
☆☆☆ | 木22 | 独身貴族 | フジテレビ | 草彅剛、北川景子 | 佐藤嗣麻子 | 武内英樹 | - |
☆☆☆ | 金22 | クロコーチ | TBS | 長瀬智也 | いずみ吉紘 | 渡瀬暁彦 | - |
☆☆☆ | 金20 | 刑事吉永誠一 涙の事件簿 | テレビ東京 | 船越英一郎 | 田子明弘 | 赤羽博 | (ホリプロ) |
☆☆☆ | 土21 | 実験刑事トトリ2 | NHK | 三上博史、高橋光臣 | 西田征史 | 中島由貴 | - |
☆☆☆ | 土23 | ハニー・トラップ | フジテレビ | AKIRA、仲間由紀恵 | 山岡潤平 | 七高剛 | The icon |
☆☆☆ | 日21 | 安 堂 ロ イ ド | TBS | キムラタクヤ、柴咲コウ | 西荻弓絵 | 波多野貴史 | (ROBOT) |
※ タイトルは各ドラマの公式サイトにリンクしています。※ 作品名を一部省略して表記しているものがある。※ テレビ朝日の東映枠は割愛した。 ※ 脚本担当者が複数いる作品については トップクレジットを表記している。※ 制作会社の空欄は局制作。カッコ内は制作協力。※ 「ガラスの家」は9月放送開始。 |
期待度1位はダントツでこのドラマです。
『リーガルハイ』(フジテレビ)は、原作のないオリジナルドラマとしては近年屈指の名作ドラマという位置づけが可能だし、
続編を見たいということをあまり声高に言わない私のような人間でも、SP後の告知にはテンションが上がってしまいました。
キャラクターは確立しているドラマですので、古沢良太さんが今度はどんな切り口、どんな味付けで魅せてくれるか楽しみです。
それと岡田将生くんと小雪さんという新キャストのセンスは本当に素晴らしく、それだけでワクワクしてしまいます。
もちろん堺雅人さんと新垣結衣ちゃんの息の合った台詞の応酬はさらにパワーアップして帰ってくることでしょう。
http://e97h0017.blog.so-net.ne.jp/2012-06-28
こちらが前シリーズについて書いたレビューです。復習の手助けになれば幸いです。
『都市伝説の女』(テレビ朝日)の続編制作のニュースにも同じぐらいテンションが上がりました。
前作は一部の演出担当者に難があったのですが、今回は塚本連平監督がチーフとなって演出に関しては安心でしょう。
あとはこちらもキャラクターは出来上がっているので、「リーガルハイ」同様、脚本家のアイデアが試されるところです。
各地を飛び回ってロケを敢行しているようで、毎回新鮮な画変わりで我々を飽きさせない
スタッフ・キャストの目に見えない努力や工夫は前作に続いて評価しておきたいと思います。
『ハードナッツ!』(NHK)は、とにかくキャストが魅力的です。情報が少ないのですが、
「ガリレオ」のように警察外部の人間を主人公(変わり者というパターン)にした事件解決ものと言ったところでしょうか。
個人的にはこの手のドラマには食傷気味のところがあるのですが、
スタッフがしっかりしているので下手な作りにはならないかなという気はしています。
「鈴木先生」後はやや精彩を欠いている河合勇人監督の挑戦的な演出が見られることを期待しています。
『ダンダリン 労働基準監督官』(日本テレビ)は、「ストロベリーナイト」以来となる竹内結子主演ドラマということで注目です。
私は本作の脚本担当者も演出担当者も全然評価していないのですが、
特定の専門職を扱った日本テレビのドラマの系譜はわりとハズレが少ないので観ることにします。
基本的には姫川玲子以来となる竹内結子ちゃんのお芝居を見たいから観るということです。
すでに9月より放送が始まっている『ガラスの家』(NHK)は、
「魔性の女」や「禁断の愛」をモチーフにした古典的なドラマなんだけど、
描いている感情はとてもリアルだし、政治ネタもけっこうしっかり取材してあって、さすがは大石静さんといったところです。
今のところ「後妻の主人公と長兄」VS「夫と次男、その他」という図式が明確になりつつあるところで、
主人公が孤立を深めていく流れはよくある展開ですけど、だからこそ見たいと思わせるストーリーです。
『刑事のまなざし』(TBS)は実に渋いキャスティングで、ちょっとWOWOWのドラマっぽいイメージです。
刑事ドラマを見るとすればこういう硬派な雰囲気のものを見たいです。何度も言うけど「ガリレオ系」にはもう飽き飽き。
それと椎名桔平さんのお芝居を観るのは「コード・ブルー」以来かな。しかも今回は久々の主演ということでとても楽しみです。
あとはフジテレビの2本は初回を見て判断することにします。
基本的にJ事務所の息がかかったドラマは観ない方向で。
言及する価値を認めれば、主にツイッターを通じて感想を表明していくつもりですが、
訳あって今クールはちょっとおとなしいかもしれません。
今クールも皆様がそれぞれに愛すべきドラマに出会えますことを願って。。。
Twitter 20130926 [Twitter]
e97h0017優れた表現とは主人公が涙を流しながら気持ちを訴えることではない。人知れず涙を流す主人公の背中を見せて受け手に彼が流す涙の色を想像させることだ。主人公が迎えた歓喜の瞬間を満面の笑みをもって俳優に表現させることでもない。俳優の表情に一瞬だけほんのりと浮かんだ喜色を逃さずに撮ることだ。09/24 20:46 e97h0017人間の感情とは本来記号化できないものだ。光のスペクトルのように複数の感情の狭間を無限のグラデーションが埋めている。一色で表現できる感情などこの世の中には存在しない。しかしテレビドラマの作り手の中には「わかりやすさ」を建前に人間の感情をたった一色で表現することを善しとする者がいる。09/26 20:11 e97h0017「一番きれいな色ってなんだろう?」
桜井和寿さんが紡ぐ「色」というワードには人間の感情も含まれるだろう。白か黒で答えろという難題に対して色をつけて答えようとしない表現者の存在を認めるわけにはいかない。
Mr.Children GIFT:http://t.co/NHsVqYw6wm09/26 20:19 e97h0017同時に「白か黒で答えろという難題」をテレビドラマの作り手に突きつけているのは視聴者だという事実にも思いを巡らせる必要がる。しかしこのことを言い訳にして表現の幅を最初から限定してしまうような人間を表現者とは呼べまい。表現者たらんとするならば表現の可能性を追求し続けなければならない。09/26 20:35
Twitter 20130925 [Twitter]
e97h0017是枝裕和監督『そして父になる』。本作が表現するテーマの核心に近づくためには、親を見つめる子のまなざしを読み解かなければならない。大人は大人らしく物事を複雑化して葛藤するが、子供の思考は常にシンプルだ。だからこそ彼らは傷つきやすい。親は最初から自分の子を育てようと思ってはならない。09/24 20:05 e97h0017親になるということは「子供になる」ことでもある。子供と同じ目線で語りかけ、彼らをちゃんと子供扱いする。同時に子に親としての自分を育ててもらうという謙虚さを持たなければならない。そのことに気づかせてくれるのは「子のまなざし」以外にはありえない。子供の目を見ることが父になる第一歩だ。09/24 20:07 e97h0017優れた作品のテーマとは限りなく普遍的であることが多い。たとえばアプローチはまったく違っても、『そして父になる』と『Oh,My Dad!!』と『もう一度君に、プロポーズ』のテーマはほとんど同じだ。つまり作品の評価とは作り手が選択した表現方法がどれだけ洗練されているかによって決まる。09/24 20:27 e97h0017優れた表現とは主人公が涙を流しながら気持ちを訴えることではない。人知れず涙を流す主人公の背中を見せて受け手に彼が流す涙の色を想像させることだ。主人公が迎えた歓喜の瞬間を満面の笑みをもって俳優に表現させることでもない。俳優の表情に一瞬だけほんのりと浮かんだ喜色を逃さずに撮ることだ。09/24 20:46 e97h0017李相日監督『許されざる者』。本邦の娯楽大作映画としては成功の部類と言ってよいだろう。考証的な突っ込み所はあるにしても、舞台設定や時代背景の差異を巧みに生かした移殖がなされおり、私はオリジナル版よりも数倍面白いと感じた。クライマックスのチャンバラ要素の迫力は飛び道具では成立しない。09/25 20:16 e97h0017RT @Yuibo_Photo: 愛に抱かれ、
法に濡れる♡
10月9日が楽しみすぎるー!
リーガル・ハイ♡ http://t.co/qOdpuennHh09/25 20:21 e97h0017『大切なことはすべて君が教えてくれた』(2011/CX)
脚本:安達奈緒子
演出:西浦正記
個々のシーンを取り出すと脚本・演出、俳優ともに素晴らしいのにトータルの出来が残念なのはプロデューサーの手腕だろう。
戸田恵梨香の素晴らしい演技 http://t.co/GWdSAHutcA09/25 20:47 e97h0017音の使い方がめちゃくちゃうまい。ひかりの表情がフレームインするところで効果音と共に導入する曲は林ゆうきさんが作曲した「Prelude」という曲で、最後はP!NKの「I'm Not Dead」という曲です。FCCの西浦正記監督による演出。http://t.co/zc5edXODtW09/25 21:23 e97h0017音をオフにしたところからスローモーションにしてひかりの表情の変化を追う。ひかりの視界に修二の表情が入ったところでP!NKの「F**kin' Perfect」という曲が導入する。あとは二人の表情の切り返し。フジテレビの葉山裕記監督の演出。http://t.co/q9531RKvoE09/25 22:45
2013年第3四半期のドラマ [ドラマレビュー]
Term | Title | Key Station | Cast | Script | C.D. | Rating | My Rating |
3 | 救命病棟24時 | フジテレビ | 松嶋菜々子、時任三郎 | 飯野陽子 | 田島大輔 | 14.62% | ★★★★☆ |
激流~私を憶えていますか?~ | NHK | 田中麗奈 | 吉田紀子 | 佐々木章光 | 8.35% | ★★★★☆ | |
Woman | 日本テレビ | 満島ひかり | 坂元裕二 | 水田伸生 | 13.58% | ★★★★★ | |
DOCTORS 最強の名医 | テレビ朝日 | 沢村一樹、高嶋政伸 | 福田靖 | 本橋圭太 | 18.32% | ★★★★★ | |
Oh,My Dad!! | フジテレビ | 織田裕二 | 安達奈緒子 | 河野圭太 | 9.30% | ★★★★☆ | |
町医者ジャンボ!! | 読売テレビ | 真木大輔、忽那汐里 | 深沢正樹 | 大塚徹 | % | ★★★☆☆ | |
リミット | テレビ東京 | 桜庭ななみ | 清水友佳子 | 塚原あゆ子 | % | ★★★★☆ | |
七つの会議 | NHK | 東山紀之 | 宮村優子 | 堀切園健太郎 | 5.92% | ★★★★☆ | |
夫婦善哉 | NHK | 森山未來、尾野真千子 | 藤本有紀 | 安達もじり | 7.35% | ★★★★☆ | |
ダブルトーン~二人のユミ~ | NHK(BS) | 中越典子、黒谷友香 | 山本あかり | 三木康一郎 | - | ★★★☆☆ | |
かすていら | NHK(BS) | 遠藤憲一 | 羽原大介 | 吉村芳之 | - | ★★★★☆ | |
※ 脚本担当者が複数いる作品については、トップクレジットを表記している。※ 視聴率は全話の加重平均(ビデオリサーチ社、関東地区)。 |
【 総評 】 つまらないドラマは早々に放棄したということもあって、私が視聴したドラマは全体的にいい作品が多く、今クールはけっこう充実した時間をすごせました。上位2作品については後ほど触れるとして、ここではそれ以外の作品について言及しておきます。
『救命病棟24時』(フジテレビ)は、本格医療ドラマの老舗だけあってストーリーも演出もさすがの安定感だったように思います。医療現場に奉仕する人間を描くという主眼を最後まではずさなかったし、常にそのためのエピソード作りがなされており、大掛かりな事故や事件に頼らなかった本を高く評価しています。最終回の院内感染は医療ドラマとしては目新しい題材ではありませんが、エピソードのスケールとしては適当なものだったと思います。『激流~私を憶えていますか?~』(NHK)は、ミステリー要素を含んだ群像劇といったタッチで、私と同世代を描いているということもあってけっこう感情移入して観ていました。主要なキャラクターそれぞれが満遍なく生かされたストーリーだったし、この世代の芝居巧者が顔を揃えた作品ですから自ずと安定したクオリティとなりました。あまり話題にならなかった『Oh,My Dad!!』(フジテレビ)は、トータルの完成度は高くてとてもいいドラマでしたよ。前倒しで撮影されてたということもあるんでしょうけど、数字が悪いからといって小細工を弄したような形跡はなく、俳優を含めて作り手が表現したいものを最後まで貫いた印象です。私はこの作品を通じて安達奈緒子さんの作風が好きだということを確信しました。『七つの会議』(NHK)は、演出的クオリティが極めて高く、間接的かつ婉曲的な表現を積み重ねることによって視聴者を主人公が選んだ結論に導いており、TBSの『半沢直樹』がお子ちゃまのドラマだとすれば、こちらは正真正銘の大人のドラマだったと言えるでしょう。最終回はこれからとなる『リミット』(テレビ東京)は、実は見た目よりもずっと硬派なドラマで、人間社会が慢性的に抱える歪や欠陥のようなものを縮図化して、これをサバイバル空間という必要最小限の人数で構成されるコミュニティの中で浮き彫りにしようとする意欲作でした。毎回登場人物の一人を取り上げて彼女たちの心情を掘り下げるアバンの映像がストーリーを効果的に補完していて、演出的見所も多かったです。
ジャニスカ的最優秀作品賞 | ||
『DOCTORS 最強の名医 』 (テレビ朝日) | ||
<優秀作品賞> 『Woman』 (日本テレビ) |
【 作品 】 全体的に良作が多かった中でもこの2作品のクオリティは抜けていました。正反対のテイストと言ってもいい二つの作品ということもあるし、評価に差をつけることにそれほど意味があるとは思っていないのですが、決めるとすれば当然私が好きなドラマの方を上位に取るということになります。『DOCTORS 最強の名医』(テレビ朝日)のストーリーは、リーダー論とか組織論のような実社会でもそのまま生きてくるようなモチーフがベースになっていて、医療ドラマと言うよりもサラリーマン向けのビジネス書のようなドラマでもありました。本作は基本的にコメディですが、現実の会社や組織を丹念に取材しており、リーダーが組織を改革したり牽引していくために具体的に何を為すべきなのかを提示した社会派ドラマの側面もあったということも指摘しておきたいと思います。
『Woman』(日本テレビ)は、母子家庭が置かれている現状を丁寧に取材して一般的なシングルマザーの心情をリアルに描き、そこにさらに個別の具体的な母子の心情が絡んでくるというストーリーで、多様な母娘関係を多様な描き方で見せたドラマだったと言えます。それぞれが抱える事情は特殊ではありますが、行き着くところは互いに対する普遍的な母娘の感情であり、最終回のまとめ方は本当に素晴らしかったと思います。必ずしも私の好きなタイプのドラマではなかったのですが、本作のような本当の意味での人間の生き様(よう)を投影した硬派なドラマが淘汰されて、某高視聴率ドラマみたいな硬派な体を装ったドラマばかりになったら、日本のテレビはもう終わりです。
ジャニスカ的最優秀脚本賞 | ||
坂元裕二 (『Woman』) | ||
<優秀脚本賞> 福田靖 (『DOCTORS 最強の名医』) |
【 脚本 】 作品賞同様、こちらも好きな方を上位に取るつもりだったのですが、『Woman』最終回の台詞遣いは圧倒的な情感とリアリティを持って表現されており、最終的には坂元裕二さんを上位にするしかないと結論付けました。今年は『最高の離婚』(フジテレビ)に続く受賞となります。ほとんど会話劇と言ってもいいドラマでしたが、とにかく印象的な生きた台詞が多かったですね。男を寄せ付けない連綿とした女の血の繋がりという壮大なテーマを一つの家族に凝縮した重厚なドラマでした。このテーマは先日フジテレビで放送されたスペシャルドラマ『花の鎖』(湊かなえ原作)と似ているかなという気はしました。いづれにせよ普遍的なテーマをストーリー構成、キャラクター作り、台詞などあらゆる面で他を寄せ付けない圧倒的なクオリティで表現することに成功したのが『Woman』ということになるでしょう。
『DOCTORS 最強の名医』の脚本は本当に魅力的でした。主人公から脇役まで登場人物の個性を立たせた福田靖さんお得意のいわゆるキャラクタードラマだったわけですが、福田靖さんのもう一つの代表作『HERO』(フジテレビ)に匹敵する傑作ドラマだと言っていいと思います。今シリーズで特に強調されていた相良先生の崇高な理想をベースにした「腹黒さ」というものは格別な個性であり、裏の裏の顔があるとわかっているだけに今度は何をやってくれるんだろうというワクワク感が常にありました。そしてなんと言っても森山先生の小学生並の発想と言行は前シリーズよりも一層パワーアップしており、こちらはバカバカしさの極みといったキャラクターでした。この対照的な二つの個性を見事に競演させ、融合させたストーリーは、福田靖さんでしか為しえないハイレベルな仕事だったと思います。
ジャニスカ的最優秀監督賞 | ||
水田伸生・相沢淳 (日本テレビ/『Woman』) | ||
<優秀監督賞> 堀切園健太郎(NHK) (『七つの会議』) 本橋圭太(アズバーズ)・猪原達三(フリー) (『DOCTORS 最強の名医』) |
【 演出 】 この四半期ごとのレビューをずっと読んでくださっている方ならお気づきかと思いますが、私は日本テレビのディレクターを高く評価したことはなくて、映画作品を観る限り水田伸生監督の作風についても必ずしも好きとは言えません。しかし、『Woman』の演出手法は、テレビドラマを20年近く観ている私のような人間でもちょっとお目にかかったことがないタイプのもので、びっくりしたというのが本音です。正直に申し上げると、これまで執筆してきたドラマレビューで言及してきたようにこのドラマの演出は具体的にどうだということを言えないのがもどかしく、とりあえずスゴイのが分かったと言ったところです。繰り返し観れば何らかの手がかりを掴めるのかもしれませんが、もう一度観る気力はありません。それとセカンドディレクターの相沢淳監督は昨年放送された『トッカン-特別国税徴収官-』(日本テレビ)を観て日本テレビにも実力のあるディレクターがいるということを認識したのですが、やっぱりこういうシリアスな作品もいけますね。
ジャニスカ的最優秀主演男優賞 | ジャニスカ的最優秀助演男優賞 | |
沢村一樹 (『DOCTORS 最強の名医』) | 高嶋政伸 (『DOCTORS 最強の名医』) | |
<優秀主演男優賞> 東山紀之 (『七つの会議』) 織田裕二 (『Oh,My Dad!!』) | <優秀助演男優賞> 吉田鋼太郎 (『七つの会議』) 小林薫 (『Woman』) |
【 男優 】 『DOCTORS 最強の名医』のお二人は見事でした。そもそもキャスティング自体が大成功なのでプロデューサーの功績も大きいのですが、お二人とも作り手に要求されているものにさらに独自のエッセンスを加味していて、前作にも増してそれぞれに役を自分のものにしておられました。沢村一樹さんは元来清廉潔白な人柄が漂う風貌の中にフッと垣間見せる裏の顔がいつも我々をワクワクさせてくれました。沢村さんは連続ドラマの主演というイメージはなかった方ですけど、ここにきて代名詞とも言える役に出会ったと言ったところでしょうか。高嶋政伸さんは前作でもそのお芝居を高く評価したのですが、あらゆる意味でスケール感を増していましたね。最低の人格だけどだからこそ憎みきれないという絶妙なバランスを演じておられたように思います。
ジャニスカ的最優秀主演女優賞 | ジャニスカ的最優秀助演女優賞 | |
満島ひかり (『Woman』) | 田中裕子 (『Woman』) | |
<優秀主演女優賞> 田中麗奈 (『激流~私を憶えていますか?~』) | <優秀主演女優賞> 田中美佐子 (『激流~私を憶えていますか?~』) |
【 女優 】 女優賞は『Woman』のお二人以外には考えられないですね。最初から何の違和感もなく二人の子供を持つお母さんになっていた満島ひかりちゃんは、あまりテクニックを感じさせない珍しいタイプの女優さんで、台詞回しにも表情を使った表現にも独特の情感がこもる人です。そのお芝居に独特のニュアンスが宿るのは彼女の豊かな感受性の為せる業かなという気はしています。田中裕子さんはこのブログの女優賞では常連で、映画賞の方では何度か名前を挙げています。今年も今のところ『はじまりのみち』(松竹/原恵一監督)で助演女優賞を受賞する予定です。大女優と言ってもいい方なのであまり言うことはありません。このドラマを観れば誰でもわかることです。
ジャニスカ的最優秀音楽賞 | ジャニスカ的最優秀主題歌賞 | |
林ゆうき (『DOCTORS 最強の名医』) | GReeeeN / 愛し君へ (『Oh,My Dad!!』) |
【 音楽 】 物語の世界観を演出するにあたって音楽が最も貢献していたのは『DOCTORS 最強の名医』です。毎回終盤に多用されたテーマ曲はコミカルを基調としたストーリーを引き締めてくれる効用があって、シリアスな医療ドラマの側面を盛り上げてくれました。主に相良先生の腹黒さや策略を強調するシーンで使用されたギターサウンドをベースとした「mmr」という曲もとても印象的でした。基本的に私は林ゆうきさんの音楽が好きでして、名前があれば常に音楽賞をあげたいなという気持ちでおります。代表作は『ストロベリーナイト』『リッチマン,プアウーマン』『絶対零度』(いずれもフジテレビ)などです。次クールは前シリーズに引き続いて『リーガルハイ』(フジテレビ)の音楽を担当するので注目です。
主題歌賞の選考は演出的な意図を持って本編で使われていることを条件にしています。『Woman』や『DOCTORS 最強の名医』、『激流~私を憶えていますか?~』などでも本編で主題歌が使用されていましたが、エンドロールへの橋渡し的な意味合いが強かったので、ストーリーを盛り上げるのに大きく貢献していたという意味では、『Oh,My Dad!!』の主題歌、GReeeeN「愛し君へ」の存在感は主題歌と呼ぶのに相応しいものだったと思います。おそらく本作のために書き下ろされた楽曲で、フルで聴くと物語にマッチした詩に目頭が熱くなります。ドラマ主題歌の顔とも言うべきイントロも素晴らしかったです。
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2013年第2四半期のドラマ
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e97h0017水田伸生監督『なくもんか』。エコやら省エネやら地球温暖化といったモチーフが全編に散りばまられているのはブラックジョークかと思ったら、この方面にはこれといったオチはなく、作り手はこれが正論のつもりでいるのか?興行(=金もうけ)のために時流に乗った映画を作ったのだとすれば悪質である。09/20 20:13 e97h0017クドカンともあろう人が社会が捏造した幻想や嘘っぱちに踊らされるとは思えないので、映画をヒットさせたくて大衆に迎合したと考えてあげた方が彼の名誉は幾分守られるだろう。後者の方がクリエーターの発想としてはよほど健全である。それよりも竹内結子に愚民の声を代弁させていたのが我慢ならない。09/20 20:19 e97h0017「マツコの知らない世界」で集英社の横組版国語辞典を紹介していて喜んだ。私が高校生の時に第一版が発刊されてすぐに購入し、手垢塗れになりながら未だに愛用している。マツコさんも驚いていたようにとても見やすくて一度横組みを手にしたらもう手放せない。現在はタテ組のみになってしまったらしい。09/19 20:37 e97h00172ch情報によるとTBS「もう一度君に、プロポーズ」の脚本を担当した「桐野世樹」とはフジテレビ「流れ星」の脚本を共同で執筆した秋山竜平さんのことらしい。若手だろうけど新人っぽくはない作風だと思っていたので妥当な名前が出てきたと納得する。http://t.co/3tvUgOGCmg09/19 21:06 e97h0017「流れ星」第8話で主人公二人が自転車の練習をするシーンは秋山竜平さんのアイデアだったと聞いている。このシーンを引き合いに出せばなるほど「もう一度君に、プロポーズ」の作風と一致する。登場人物の過去や背景を想像させるエピソード作りがうまい。http://t.co/Z7ls9xKt2G09/19 21:18