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東野圭吾ミステリーズ [ドラマレビュー]

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『 東野圭吾ミステリーズ 』
( 2012年 フジテレビ 全11回 公式サイト )

『東野圭吾ミステリーズ』各話を採点しました。
私が個人的主観で勝手に評価しただけのことですので、あまり深い意味はないとうことを前提にご覧ください。
 

TitleMain CastScriptDirectorProducerRating
※2
 My Own Rating
脚本演出キャストTotal
(11)再生魔術の女鈴木京香篠﨑絵里子河毛俊作小池秀樹6.2% 55515
(8)小さな故意の物語三浦春馬川崎いずみ並木道子石井浩二7.6% 55414
(1)さよならコーチ唐沢寿明高橋幹子※1河毛俊作小池秀樹 11.3% 54514
(10)二十年目の約束篠原涼子川崎いずみ宮本理江子石井浩二 7.5% 54413
(2)犯人のいない殺人の夜坂口憲二ひかわかよ澤田鎌作小池秀樹 7.8% 44412
(7)白い凶器戸田恵梨香川崎いずみ林徹石井浩二 7.9% 44412
(5)甘いはずなのに反町隆史坂口理子小林義則小椋久雄9.1% 44412
(6)シャレードがいっぱい長澤まさみ鎌田哲郎※1石井克人和田倉和利8.9% 43411
(3)エンドレス・ナイト 松下奈緒田辺満 河野圭太小椋久雄 8.8% 43411
(4)レイコと玲子観月ありさ川村泰祐※1川村泰祐和田倉和利 7.8% 3238
(9)結婚報告広末涼子寺田敏雄村上正典小椋久雄 8.9% 3227
※1 脚本担当者が複数いる回についてはトップクレジットを表記した。 ※2 視聴率は、ビデオリサーチ社調べ(関東地区)。

良質な原作があると言っても、クオリティには当然ばらつきがあるはずなので、
脚本の評価は担当者の技量と一致しないかもしれません。映像化向きの原作にあたらなかった人もいるでしょう。
また、こうやって一覧にしてみるとよくわかるのですが、特に質の高い原作をフジテレビが制作し、
それ以外を共同テレビとシネバザールで制作したという図式もありそうなので、その点には十分ご留意ください。
当番組は小池秀樹Pの企画ですので、思い入れの強い作品を自らプロデュースするのは当然のことでしょう。

逆に演出に関してはシビアに採点したつもりです。あくまでも「ミステリーの演出」という観点から評価しました。
私としては当初から今回の企画最大のみどころは、いろんなタイプのディレクターの演出をミステリーという同じ土俵で、
わかりやすい形で比較できる点だと考えていたので、特に演出的観点からは大変興味深く拝見させていただきました。

原作のクオリティにばらつきがあるはずだと申し上げたのですが、とは言っても東野圭吾の作品から選抜しているわけですから、
元来どの作品もデフォルトで面白いはずなのです。つまり、各作品の質には高いレベルでのばらつきがあるということです。
それでも下位2作品の評価が特に低くなってしまっているのは、掛け値なしで演出のせいだと言っていいと思います。
はっきり申し上げて下位のお二人は、ミステリーを撮るのが上手ではないです。
ただし、ジャンルによって得手不得手がある場合もあるので、
これのみをもってディレクターとしての力量にレッテルを貼るつもりはありません。
特に川村泰祐監督は「のだめ」や「全開ガール」に代表されるコメディ作品で定評のある方です。

ただ、そうは言っても本当の意味で実力のあるディレクターは、
どんなジャンルでもしっかりと実力を発揮するもので、やっぱりベテランの河毛俊作監督は流石でした。
特に音の使い方が秀逸で、音楽で盛り上げないミステリーはミステリーではない、とまで感じました。
「さよならコーチ」もすごく良かったのですが、ミステリーの演出としては「再生魔術の女」がシリーズ最高の出来だったように思います。音楽によって一連の張り詰めたものを演出し、鈴木京香さんのお芝居にグイグイ引き込まれていくのを実感しました。

「小さな故意の物語」は、そういう意味での王道のミステリー演出からは外れていたのですが、
青春時代の淡い恋心や、まさに「小さな故意」という人間の繊細な心情にスポットライトを当てた作品でしたので、
純粋なミステリー作品とは一線を画していたと思います。一言で言えば、私がもっとも好きなタイプのエピソードでして、
青春時代の男女の近くて遠い距離感とそれに基づく気持ちの齟齬が生み出す切なさが巧みに切り取られていたと思います。
また、冒頭とラストでまったく同じシーンをまったくの別角度で見せることによって、
それまで目に見えなかった「あの瞬間」の3人の心情をすべて明らかにする演出的仕掛けは見事でした。

それと、ちょっと評価に困ったのは石井克人監督の「シャレードがいっぱい」で、
以前つぶやいたとおり、かなりの変化球だったので、ミステリー演出としての評価は「不能」と言った方がいいかもしれません。
当回については賛否両論あるとは思いますが、私としてはこういう遊び心のある回があってこその企画だったと思っているので、
むしろその挑戦を賞賛したいと思います。それにしても安藤政信さんはかっこよかったですねー。
テレビに出てくれてありがとうです。これも石井監督でなければ実現しなかったキャスティングでしょう。

最後にキャストについて言及しますと、鈴木京香さんが圧倒的でしたね。これは誰も異論ないと思います。
メインキャスト以外のところでは「さよならコーチ」の田中麗奈ちゃん、「甘いはずなのに」の加藤あいちゃん、
「シャレードがいっぱい」の安藤政信さん、「小さな故意の物語」の波瑠、などが特に印象に残っています。

<参考>
フジテレビの小池秀樹プロデューサーのインタビューです。美大出身というのは驚きました。
http://dogatch.jp/interview/tsukuruhito/index.html?bclid=p-int_no.123

  • e97h0017e97h0017「東野圭吾ミステリーズ」第1回と最終回の演出を担当した河毛俊作監督のインタビューです。トレンディドラマの創成に貢献したディレクターの一人でフジテレビでは永山耕三監督と並び称されるベテラン監督です。私はお二人の作品からドラマ演出を学びました。http://t.co/Q7i34vBu 08/02 20:40
  • e97h0017e97h0017映画のお話がちらほら出てくるところが河毛演出のバックボーンかなと思います。また鈴木京香さんについて「演出の基本は、距離感と間合いだと思うのですが、言葉や台本と相反する距離感を感じてもらえる」という部分は映像表現の真髄とでも言うべきもので、河毛作品によく表れている要素だと思います。 08/02 20:48
  • e97h0017e97h0017『東野圭吾ミステリーズ』ナビゲートパート第5話までの完全版です。これはそれぞれのエピソードのアバンに位置するから意味があるのであって、こういう形で観るものではないようだ。頭から通して見直してみるとストーリーが破綻している。さすがは森ハヤシ。http://t.co/bErbYuLs 08/10 23:26
  • e97h0017e97h0017部下から愛されていると言える関係なら横領なんかされないし、本人が疑うのもおかしい。洗いものを手伝っていたというが、奥さんは自分のために料理を作ったことがないと言う。それで家族からも愛されていたなんてよく言えたもんだ。学生劇団レベルの本だ。中井貴一さんじゃなかったら見てられないよ。08/10 23:34
  • e97h0017e97h0017『東野圭吾ミステリーズ』は興味深い試みだ。同じジャンル同じテイストなのでディレクターの演出の特徴がよくわかる。やっぱりミステリーが下手な人もいる。かつて三谷幸喜脚本を毎回異なる監督が演出する「三番テーブルの客」というドラマがあったが、あれは監督が露骨に差別化を意識してたからなぁ。08/13 20:14
  • e97h0017e97h0017石井克人監督『シャレードがいっぱい』。予想を遥かに上回る変化球だった。ミステリーっぽくない遊び心が満載だったが、ラストのブッキーの登場によって一気に東野圭吾らしい人間ドラマに到達させたのは見事。初めて原作を読みたいと思った。映画監督のクリエイティビティがよくわかる回だったと思う。08/16 23:04
  • e97h0017e97h0017『小さな故意の物語』の演出は宮本理江子監督だと思い込んでいたんだが、変更になったのかなぁ。確認したら2ヶ月前にブログにもそう書いてるんだよな。まぁ勘違いかも知らん。でもストーリー的にも演出的にもシリーズ最高の出来だったと思う。最終的に「悲恋の話」に落とすところが東野圭吾のすごさ。09/03 22:41
  • e97h0017e97h0017『東野圭吾ミステリーズ』のナビゲートパートの出来はひどすぎた。第1話で提示したケチャップがどんでん返しを演出する仕掛けにご満悦かもしれないが、「餃子にケチャップ」は強引過ぎる。それにオムライスでは足りないから餃子を追加だと?もっともそういう人間なんだと言い張られたら黙るしかない。09/22 10:45


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