(10)天気予報の恋人 [ドラマレビュー]
2000年にフジテレビで放送された『天気予報の恋人』を毎週お届けしています。
今週は第10話です。動画は原則1週間の掲載となります。
(6/24まで。本編動画の掲載は終了しました。) |
『 天気予報の恋人 』
Vol.10
( 2000年 フジテレビ=共同テレビ 全12回 )
今回は矢野が唯川幸についての真相のすべてを知ることになります。
別の言い方をすれば、3人の関係がリセットされたことになり、
そこから新たな関係を切り開き、構築できるかは矢野に委ねられたと言っても過言ではありません。
矢野が早知と祥子の嘘のない正直な気持ちを受け止めた上で、
彼がどのような決断をするのかによって、この物語の結末は大きく変わってくるという分岐点を迎えています。
さて、今回の注目シーンを挙げるとすれば、早知と祥子が仲直りするシーンでしょうか。
初回から一貫して描かれているとおり、この二人の性格は正反対なのです。
それなのに親友でいられる理由とは何なのでしょうか。
それは、二人それぞれが相手の中に自分が持っていないものを見出していて、
それが互いに対する尊敬に近い感情を生み出しているからだと思います。この二人の関係は、
一緒にいて波長が合うとか、趣味が同じとか、よく遊びにいくとか、そういう表面的な結び付きではありません。
相手のことを深く知り、相手に自分にないものを見出し、それをひがむのではなく、素直に尊敬する。
エレベーターの中で二人が交わした会話は、そんな「親友の定義」がぴったりはまってくるような内容だったと思います。
技術的なことを言えば、エレベーターが停止するというのは、いかにもドラマっぽいなとも思うのですが、
けんかをしていた早知と祥子が強制的に二人きりになる、
という状況を考え始めると、実はこれぐらいしか思い浮かばないんですよね。
本来なら時間はかかっても自然に仲直りしていくのが「親友」というものなのかもしれませんが、
それをたったワンシチュエーションで違和感なくやってしまうところが脚本家の手腕かなと思います。
そこに大きく貢献しているのが「かき氷」というアイテムだったのは言うまでもないと思います。
それと前述のとおり、二人が交わす「会話の質」にも注目してもう一度ご覧いただきたいシーンです。
演出的に注目なのは、やっぱりラストシーンでしょうか。
早知が書いた手紙と矢野の表情をオーバーラップさせて、早知の言葉をかぶせるあたりはセオリーと言ってもいい演出です。
そのあと、おそらく原田早知に電話をかけようと席を立った矢野に、同僚から仕事の声がかかると、
矢野は居ても立ってもいられない気持ちを抑えて、いつもと変わらない落ち着いた口調で天気予報を述べるのです。
そこに達也の手をとって坂下に消えていく早知の後姿がカットバックされると、
二人の関係はもう終わってしまうかのような寂しさを観る者に印象付けます。
さらに最後のカットも、終盤に向けての物語の焦点を観る者に想像させる余韻がありました。
矢野が握る早知の手紙はこのドラマが辿るべき道筋と3人の命運がまさに矢野の手の中にあるということを物語っています。
実際、次回以降、このドラマは矢野にいくつもの決断を強いるのです。
矢野克彦(40) - 佐藤浩市
引用元:Wikipedia(というか私が書いた) |
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こんにちは。10話目も見させていただきました。
ありがとうございます(^^)
矢野さんに君も僕に嘘をついたことがあるのか?
(すみません、セリフがちょっと違うかもしれませんが…)と聞かれて
電話を切った後に、元妻が「あなたと離婚したい…と言ったことかな」
これも水族館で、矢野さんが高校の時に付き合っていた彼女に突然
「もう会いたくない」と言って振られた…
ということにつながりますよね。
矢野さんてば、罪作りな男です。
矢野さんが自分の想いをぶつけて強くグイッと抱きしめてくれてたら、
別れることはなかったかもしれないのに…。
高校の時の彼女も元妻も…
これからが矢野さんの正念場ですね。
あと2話、よろしくお願いします。
by kei (2012-06-17 22:00)
keiさん、こんばんは。
そうですね。第7話の水族館のシーンは矢野の女性観を端的に表現していて、
すでに矢野が本当の幸せを掴むために必要な条件が明らかなっています。
その「条件」を誰よりも肌で知っているのが元奥さんの潤子なんですよね。
しかし、矢野はまだそのことにはっきりと気が付いていない。
ふわっとしたドラマですけど、すべての登場人物がその役割を全うしていて、
やるべきことをしっかりやっている優れたドラマだと思います。
次回は澤田鎌作監督で、私が一番好きなシーンが登場します。
引き続き楽しんでください。。。
by ジャニスカ (2012-06-19 22:33)