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DESTINY - MY LITTLE LOVER [音楽]


MY LITTLE LOVER
『 DESTINY 』
作詞・作曲・編曲:小林武史
( 1998年5
月13日 / トイズファクトリー )
          Official / Wikipedia  Words          

「hata」さんと「てるてる坊主」さんですね(^^)。
思えば、伴一彦先生と竹野内豊さんのコンビはここから始まりました。
この12年後に『流れ星』という名作が誕生したのかと思うと、感慨深いものがあります。

『WITH LOVE』というドラマが放送された1998年は、
それまでビジネスマンが主たるユーザーだった携帯電話が
一般に広く普及し始めた時期で、
私自身、この頃に初めて携帯電話を持ちました。ちなみに機種はP153だったなぁ。
同時にパソコンも一般家庭に普及し始め、ADSL回線の浸透とともにネットユーザーも爆発的に増えました。
私がブログ的なことを始めたのもこの時期で、当時のプロバイダはブログサービスなんてやってなくて、
テンプレートもありませんでしたから、HTMLを使って一から自力で作ってました。暇だったんですね(^^;。
当時の「メール」といえば、携帯電話ではなくてPCを使ってやりとりするメールのことを指し、
「電子メール」とか「Eメール」といった言葉が流行語になった時代でもあります。

そういう時代背景のもと、電子メールのやりとりから始まる恋愛を描いたのがこのドラマです。
竹野内豊さん演じる作曲家が送った1通のメールが送信先を誤っていて、
それを受け取った田中美里さん演じる普通のOLさんが、
添付された音楽ファイルの美しい響きに心奪われてしまうところから物語は始まります

竹野内豊さんは『ビーチボーイズ』(1997年)でブレイクした直後だったし、
田中美里さんは朝の連続テレビ小説『あぐり』主演ののち、初の連続ドラマで、
出演者だけを見ると、いかにもフジテレビらしいキャスティング先行のドラマでした。主演以外のキャスティングも興味深いです。
及川光博さんなんて今でこそちゃんと「相棒」やってますけど、この当時はちょっと
胡散臭いミュージシャン(失礼^^;)で、
今で言えばDAIGOみたいなポジションだったんですから、衝撃的なキャスティングでした。
このあと同じく喜多麗子さんプロデュースの『氷の世界』(1999年)に出演し、俳優の地位を確立することになります。
他にも藤原紀香さんは女優業を本格的に始めた時期だったし(竹野内さんとの2ショットは当時理想的な美男美女の絵だった)、
渋いところでは田山涼成さんがステレオタイプな中間管理職の役をやり始めたのはこのドラマからだったような気がします。

このドラマをプロデュースした喜多麗子さんは、
フジテレビの2大敏腕ドラマプロデューサー・大多亮氏と亀山千広氏から薫陶を受けた方で、
いわゆるトレンディドラマの系譜を直接受け継いだ最後の世代にあたるプロデューサーです。

今作は時流にのりつつも、トレンディドラマ的なクラシカルな手法をしっかりと踏襲しており、
古き良き時代のフジテレビのドラマらしさを色濃く残した王道のラブストーリーでした。
喜多さんは当時野沢尚さんとの仕事が多かったのですが、
それ以外のオリジナル作品としてはこれが最高傑作ではないかと感じています。

この当時のドラマが持つ最大の特性は主題歌を聴けばドラマの映像が浮かぶということで、
やっぱり「DESTINY」=「WITH LOVE」なんですよね。
個人的にはこの当時というのは、テレビドラマをコマ送りで観ていた時代でして、
割といろんなシーンが記憶に刻まれている作品ではありますが、音楽が呼び起こす記憶の方が鮮烈だったりします。
ベタだけど、美里さんがウェディングドレス着て新宿の街を走ってたよなぁ・・・。
間違いメールに添付された曲を作ったのが竹野内さんだということがわかって、
美里さんがミッチーをおいて結婚式場から飛び出していくんですよね。
その後仕事でパリへと旅立った竹野内さんと本格的に「愛を込めた」メールのやりとりが始まるところでドラマは終わります。
セーヌ川の河岸でPDAを使ってメールを打つ竹野内さんのラストカットは斬新でした。
本当の意味での「WITH LOVE」がここから始まるという・・・曲と共に清々しい余韻がよみがえります。

こういうドラマを思い出すにつけ、テレビドラマは「時代」というものを映していかなければならないと思います。
主題歌を聴いてドラマの一場面がふっと思い浮かび、そのとき自分がどこで何をしていたのかを思い出す・・・。
それこそが理想的なテレビドラマのあり方ではないでしょうか。
ただし、ただ時流や流行ものに乗っかればいいと言うものではありません。
当然のことですが、クオリティを伴わないドラマにその資格はないのです。
果たして「婚活」や「ツイッター」をテーマにしたドラマを10年後に思い出すことがあるでしょうか。


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コメント 7

k_iga

田中美里さんが恋人と破局し、旅行をキャンセル。
家電店の店先で目についたパソコンを買うのですが、演出上、電源スイッチを入れてから
使える状態になるまで僅か数秒なので、会社で同僚と「あんなパソコンが欲しい」と盛り上がって
ましたっけ(笑)
once in a BLUEMOON,という言葉を覚えたのもこのドラマでした。
サントラや長谷川天(竹野内豊)名義のCDも買いました。
by k_iga (2011-09-21 00:56) 

ジャニスカ

そのシーン、なんとなく覚えてます。
私も普通に「演出だ」と思いました(^^)。
今でこそ全国から突込みが入りそうですけど、
作り手も受け手もそこまで違和感を感じてなかった時代ですよね。

岩代太郎さんの音楽は素晴らしかったですね。
今ではすごい作曲家になってしまいました。

by ジャニスカ (2011-09-21 22:20) 

Sho

懐かしいですね。途中まで見ていました。
私は、「音楽プロデューサー」という職業が主役になる時代がきたことが
とても新鮮でした。(当時は小室氏の勢いもすごかったですね)

こちらが、伴一彦氏の作品とは全く知りませんでした。
伴さんといえば、「パパはニュースキャスター」で初めてきちんと認識した脚本家の方でした。
このドラマには本当に救われまして、そのセンスをすごい! と思いました。
by Sho (2011-09-22 00:29) 

ジャニスカ

Shoさん、こんばんは。
このドラマって森田芳光監督の『(ハル)』の影響を受けているのは間違いないと思うんです。
でも当時もその後の評価でもあまりそれを言う人はいなかったような気がします。
それはこのドラマが『(ハル)』という映画が持っていた青臭さや野暮ったさを払拭しているからで、
トレンディドラマの一要素だった都会的でスタイリッシュな手法を
うまく取り込んでいたからではないかと考えています。
そういう意味では主人公の職業を作曲家にしたのは最大のファインプレーだったと思います。
この当時のドラマプロデューサーは、時代を先取りする感覚がとても鋭敏でした。
それに比べて今のプロデューサーは目の前の流行に乗っかるのが精一杯というか。
大多亮氏なんて自分が時代を作るんだぐらいの気概を持ってましたからね。

私、伴一彦先生の初期の作品はほとんど再放送で拝見しているんですよね。
もちろん当時はお名前を知った上で観ていたわけではないのですが、
振り返ってみると伴先生のドラマを観て育ったところがあります。
「パパはニュースキャスター」もよく覚えています。家族で観られるドラマの典型でした。
ドタバタコメディって言うんですか、こういうタイプのドラマはどうして絶滅しちゃったんでしょうか。

伴一彦先生も時代感覚が鋭い方なんじゃないかなと思います。
じゃなければ、こんなに長期にわたってコンスタントに作品を送り出せません。
前クールの『デカワンコ』なんて衝撃的でしたよ。
伴先生は秋からも新作を手掛けるようなので注目してみてください!

by ジャニスカ (2011-09-22 21:06) 

ruri

こんばんは。こちらに、「WITH LOVE」の感想があったのですね。失礼いたしました。
そしてコメント返信ありがとうございました。

ジャニスカ さんは、決してファン目線ではなく、スタッフや作品内容、役者目線で評価されてるのがとっても信頼できます。
フラットな間隔で作品を見られますね^^
実は「WITH LOVE」作品のファンも多いはずなのに、ネットでレビューが少ないのです。涙
レビューがあっても、それは竹ファンが圧倒的に多く、竹さん贔屓な内容が見受けられて。。。
(それ以外もありましたが、、、、なかなか作品重視のレビューは少ないのです)

あたしは、竹野内さん大好きですけど、田中さんのファンでもあるので、贔屓な内容のプレビューは観ていて気持ちがよくないのです。
もっと作品内容や、役者さんのお芝居、演出、脚本などで評価をされてるレビューがないのかしら、、、と。

そんな時ジャニスカさんの、レビューを発見しました。@@

ジャニスカ さんは、何度も作品をご覧にならないようですね。
50回以上みている私は変かしらww
でも、いろんな発見ができて楽しいです。
特にこの作品では、次回予告と、オンエアのテイクが違っているのでびっくりでした・・・
違うパターンを使ってる!そういうことあるんですね・・・?

余談ですが、実は田中美里さんは、竹野内さん主演のヒロインとしては唯一、個人のブログやラジオをもっています。(共演者ではなくヒロインとしては唯一です)
田中さんのブログをみていると、私のような「WITH LOVE」ファンからのメールが影響してかわかりませんが、よくこの作品のフレーズ、仕草が見受けられるんですよww

主人公二人のナレーションが主体となるドラマは、少ないでしょうか?
(「愛をください」も手紙のやりとりのドラマですが、それほど感動しませんでしたww)
当時田中さんは21歳、デビュー2年目とは思えないナレーションをしています。
お二人がしっかりと合わせたような、ゆっくりまったりの言葉で語っています。
最初は違和感ありましたが、何度も聴いてるうちに、心地よくなりました。

明日も頑張ろうp(^^)q
という気持ちになれます♪

オンデマンドで配信されてますよww

あたしもジャニスカさんのようにはいきませんが、自分なりに一話ずつレビューかいてみたいと思います。

読んでいただきありがとうございました。
by ruri (2012-06-20 01:43) 

ジャニスカ

ruriさん、こんばんは。
私のレビューを評価していただきありがとうございます。
私が今書いているようなレビューを書こうと思った動機はいろいろあるのですが、
ひとつにネット上で見ることができる作品に対する感想が、感情的かつ直感的なものが多くて、
具体的な根拠を示して客観的に理路整然と述べられた感想というものがほぼ皆無だったというのがあります。
特に批判的な感想の中には「どこが」ということを示さずに脚本が悪いとか演出が悪いといった、
一言で切り捨てようとする文章が散見されまして、私にはそういう感想が我慢なりませんでした。
私はたまたま昔からテレビドラマをちょっと変わった視点で観ていたので、
演出や脚本、あるいは俳優さんのお芝居というものがどうやって成立しているのかということについて、
幾ばくかの知識を持ち合わせていました。それを駆使して映画やドラマの「おもしろさの根拠」を提示して、
多くの人により深く作品を楽しんでもらいたいと思っています。
そして、そのことによって根拠に乏しい感情的な感想を陳腐化させてやりたいとも思っています。

私は「つまらないドラマ」でもあえて観続ける場合があるのですが、
それは「なぜつまらないのか」を知らないと「なぜおもしろいのか」にも辿り着けないからです。
これは当然逆も成り立ちます。またレビューとして両方を提示しておかないと説得力を欠くとも考えています。
以前どなたかにもお話したのですが、私は「感想」と「レビュー」は全然違うと思っています。
「感想」は贔屓の俳優さんのお芝居を賞賛する文章でもかまわないと思いますが、
「レビュー」は批評ですから、専門的知識に基づいた客観的な評価でなければならないと思っています。
私は知識もないのに演出や脚本を批判する「レビューっぽい感想」をもっとも忌み嫌います。
ネット上には「感想」と「レビュー」が混在していますが、
大部分が「感想」だということを念頭においてそれらに接する必要があると思います。

すいません、、、ちょっと原点的な話をさせていただきました(^^;。
好きなドラマを何度も観るというのは全然変じゃないと思います。
「変」ということで言えば、私のようなドラマの見方の方がよっぽど変だと思います。
私は学生時代に『いつかまた逢える』というドラマをそれこそ何十回も観ました。
同じシーンを何度も巻き戻したりコマ送りで観て、オリジナルの割本(技術台本)を作成していました。
今はそういう見方はめったにしないのですが、それは1度観れば大体のことがわかってしまうからなんです。
だから好きなドラマでも何回も観るということはなくて、
それよりもドラマを観た後の「余韻」を大事にしたいと思っています。
この「余韻」というのは1回目でしか味わえない要素というのが確実にあって、
何度も観ることによって、それを失いたくないという気持ちがとても大きいです。
ただ、ruriさんがおっしゃるような「新しい発見」というものは2度目がないとありえないものでしょう。

>次回予告と、オンエアのテイクが違っているのでびっくりでした・・・

実はこれは意外によくあって、
なぜなら民放のドラマはオンエア当日まで編集作業をしているなんてことが普通にあります。
最終的に切った(選ばなかった)絵が次回予告に残ってしまったということだと思います。
以前ツイートしたのですが、次回予告は本編が未完成の段階で作りますから、これをきっちり作れる
ディレクターというのは当該回で表現したいものを的確に理解して撮っているということになります。
『流れ星』でいうと宮本理江子監督が作った第8話の次回予告は素晴らしかったですよね。

「主人公二人のナレーションが主体となるドラマ」というのは言われてみれば見たことがないですよね。
でもプロット自体は『(ハル)』とか『めぐり逢えたら』のような古典的な要素を持ち合わせていて、
斬新な手法で古典的なテーマを表現した、やっぱり「王道のラブストーリー」という感じがします。

美里さんは21歳とは思えなかったですねー。
最近ちゃんと認識したんですが、私、彼女と同い年なんですよ(^^;。
当時は普通にキレイな女優さんがいたもんだと思っていました。

オンデマンドで観られるんですね。
私はインターネットでドラマを観る習慣がないというのもあるし、
今は昔のドラマを積極的に観るという気持ちにもなれないので、再放送を待つことにします。
いろんな形でテレビドラマを手軽に観られる時代になっていますが、
私はその中でも昔ながらの「再放送」という形式が大好きです。
連続ドラマには1週間というインターバルは不可欠なものだと思っています。

冒頭でハードルを上げちゃったみたいになりましたが、好きなドラマについて大いに語ってください。
よかったら読ませてくださいね。作品への愛情が伝わってくるような文章を期待しています!(^^)

by ジャニスカ (2012-06-21 00:04) 

ruri

こんばんわ。

新ドラマも始まっているのに、昔のドラマにおじゃましてごめんなさい。
もうすぐ七夕なので、記念?に来てしまいました☆

作品の感想。なんとか書きました。
でも、ジャニスカさんがお嫌いのような感想文です。
ドラマの制作のことはぜんぜんわからないので、主観での愛読書感想文のようなものです。

ファンしかわからないような?何が面白いとか、どれが好きとか(笑)
ただ作品ファンとして褒めてるだけでしょうか?
あとは愚痴になってしまいました(笑)

ドラマの感想は大変な作業ですね。
私のはあれだけの文章なのに疲れちゃいました。

ジャニスカさんはほんとに達者ですね。
読みごたえがありますし・・・・


excite blogです。
七夕記念?に、通りすがりに覗いていただけたら嬉しいですw

では、また。

by ruri (2012-07-06 00:41) 

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