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(P)岳-ガク- [映画プレビュー]

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『 岳-ガク- 』
( 5月7日公開 東宝 125分 公式サイト )
監督:片山修 脚本:吉田智子 主演:小栗旬、長澤まさみ

※ この記事は、作品を鑑賞する前に執筆したプレビューです。

ここ数週、長澤まさみちゃんが引くぐらい映画宣伝のためにテレビに露出していますが(^^;、
東宝としてはこれ以上、看板女優で失敗するわけにはいかないということなのでしょう。
これだけテレビで映画タイトルを連呼すれば、さすがに興行的に失敗する可能性は小さいとは思いますが、
純粋に「女優・長澤まさみ」のことを思うと、この映画がヒットしても根本的な問題は解決されないような気がします。
正直言って、この役が彼女に合っているとは私には思えません。
一方で、私は小栗旬くんがこの映画で新境地を開拓してくれているような予感を覚えています。

私はこれまで小栗旬という俳優を世間が言うほど評価したことはありません。
というのも近年の彼を見ていると、実は身の丈に合った役を演じてこなかったのではないかと私は考えています。
以下に私が観たことがある主な小栗旬出演作品を列挙します。

 『ロボコン』(2003年 東宝)
『天国のダイスケへ~箱根駅伝が結んだ絆~』(2003年 日本テレビ)
『救命病棟24時 第3シリーズ』(2005年 フジテレビ)
『キサラギ』(2007年 ショウゲート)
『天地人』(2008年 NHK)
『東京DOGS』(2009年 フジテレビ)
『獣医ドリトル』(2010年 TBS)

この他に、『世界ウルルン滞在記』(2001年)と、伝説の(?)『情熱大陸』(2007年)を拝見しています。 

そんなにたくさん彼の作品を観ているわけではありませんが、
『天地人』以降、彼が演じる役柄が変わってきているのがなんとなくお分かりいただけると思います。
『天地人』では主人公・直江兼続の盟友だった石田三成という超重要な役を演じてかなり注目されました。
このドラマのストーリーを技術的な観点から振り返ると、
私は石田三成というキャラクター作りはとてもうまくいっていたと思っています。
しかし、果たして小栗旬くんがこの役をしっかりと手の内に入れていたのかというと、疑問符を付けたくなってしまいます。

翌年の『東京DOGS』では、明らかにこのときの石田三成像を意識したキャラクター作りがなされており、
これは、大河ドラマ
を観たフジテレビプロデューサーの「錯覚」に基づいて作りあげられた役柄だったと思っています。
小栗旬くんのファンならば、このドラマの中の彼を「かっこいい」と思えたかもしれませんが、
私には彼が「とんでもないキャラクター」に最後まで戸惑い、苦しんでいたように見えました。
ちなみに私は『東京DOGS』を月9史上屈指の「隠れ駄作」と評しています。

この延長線上にあるのが、『獣医ドリトル』で、
小栗旬に対する周囲のイメージによって作り上げられた役柄に
ようやく彼自身が追いついてきたというような印象を持って観ていました。
だたし、同時に彼の「居場所」はここではないような気がしていたのも事実です。

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私は、この『岳-ガク-』の劇場用予告編(下の予告編とは異なるようだ)を初めて観たときに
なんとなく小栗旬の居場所はここなのではないかと思いました。
そう思わせてくれたものは、彼の「笑顔」です。
そう言えば、昔から小栗旬とは、よく笑う、笑顔が素敵な青年だったことを今ごろ思い出した気がしました。
小栗旬初監督作品『シュアリー・サムデイ』などを観ても、実は、彼はいい意味での精神的な幼さを保持した俳優であり、
私は、(映画監督としては話は違うが)俳優としてはこれからもそういう精神をひとつの武器としていくべきだと思っています。
この映画の中で見せる「笑顔」こそが、俳優・小栗旬の最大の武器となる可能性を大いに秘めているような気がしています。

一番上に貼り付けた画像は、公式ホームページでダウンロードできるものなんですけど、この笑顔なんです。
実は、私はこれをPCの壁紙にしていて、それぐらい魅力的な表情だと思っています。
惜しむらくは、長澤まさみちゃんとの2ショットバージョンも作って欲しかった・・・。

お二人の魅力的な表情がスクリーンの中でたくさん観られることを期待しています。

関連記事 : 岳-ガク- (2011-05-31)


タグ:長澤まさみ
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コメント 2

Sho

未見です。
私も小栗旬という俳優にはさほど興味を持っていませんでした。「天地人」は一月ほどで見るのを止めてしまいました。この人の出ている作品を、最初から最後まで見たことがないのに書いてよいのか迷いましたが書いています。
ジャニスカさんがおっしゃるように、おそらく彼はこの路線が非常にあっていると思います。
(そう感じれば感じるほど、長澤まさみの合ってなさ感が際立ちます)
初めてポスターを拝見しましたが、誰だかわかりませんでした。
でも、本当に笑顔がすばらしい。
続く予告編でも、笑顔のすばらしさは揺るぎません。
「ああ・・この人にはこの路線があったんだ・・」と自然に思いました。

「多襄丸」はいつか見たいとおもっています。

今回プレビューを興味深く拝読しましたが、レビューも楽しみにお待ちしています。
by Sho (2011-05-07 09:52) 

ジャニスカ

Shoさん、nice!&コメントありがとうございます!
私は、正直なところ小栗旬という人間は大嫌いなんです。(←おいおい^^;

彼のターニングポイントは蜷川幸雄氏の舞台に出演したことで、ちょうどその時期の彼を追いかけた『情熱大陸』というドキュメンタリー番組がテレビ業界に与えた影響はおそらくかなり大きいものがあって、その後の小栗旬が演じる役柄を固定化してしまったところがあると思っています。私は『情熱大陸』で小栗旬が見せた表情は「虚勢」だったと思っていて、だからこそ人間としての小栗旬に対して一気に冷めてしまった部分があります。しかし、業界の人間は、あの「虚勢」に魅力を感じ、それが生きるような役柄で彼を映画やテレビに出してしまいました。そのあたりのことを本文に書いたんですけど、今思えばあの虚勢は「若さ」というものなのかもしれないとも思います。なんとなくですけど、この映画では彼自身も虚勢が必要のない役柄で、のびのびとお芝居をできたのではないかと思っています。

私は小栗旬とは絶対に友達になりたくはありませんが(^^;、そのことと俳優としての評価は別ものなので、
純粋に彼が封印せざるを得なかった未知の魅力によってこの映画が良作になることを願っています。

by ジャニスカ (2011-05-07 19:21) 

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