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(ご挨拶) [ご挨拶]

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

思えば、昨年の今頃は、『おと な り』のレビューを執筆しておりました。
熊澤尚人監督の才能に触れて、ちょっと興奮気味だったのを覚えています。
その熊澤監督が、昨年秋には『君に届け』という素晴らしい映画を我々に届けてくれたことを思うと、
こうやって映画レビューを執筆することで追いかけられる才能があるということに喜びを感じています。

また、年初めに執筆した『夕凪の街 桜の国』のレビューに佐々部清監督が目を留めてくださいまして、
監督の意図を汲み取った文章として紹介していただくという僥倖を得たことも大きな出来事でした。
その後執筆した『三本木農業高校、馬術部』のレビューも同じように紹介していただき、私がレビューを執筆するに当たって
最も重視している「作り手の意図を汲み取る」という部分を監督ご本人にお認めいただけたことはこの上ない喜びでした。
もしかしたら的外れなこともたくさん書いているのかもしれませんが、
このブログのポリシーに対して目に見える形で一定の評価を頂けたことは大変励みになっています。

偉そうに映画レビューなどと言っていますが、私が日本映画を本気で見始めたのはここ数年の話でして、
まがりなりにもレビューという体裁の文章を書けるようになった下地には、
私の頭の中に膨大なテレビドラマのデータベースがあったからだと思います。
私がテレビドラマを現在のような視点で見るようになった最初は、高校生のときで、
ドラマを作っている人たちの仕事と感性に興味を持ったからです。
学生時代は独学でテレビドラマの演出を勉強していました。

そうやって得たものをテレビドラマのレビューではなく、映画のレビューに生かそうと思ったのは、
単純にレビューを書きたいと思わせるドラマがなかったからで、近年のドラマに対しては失望感すら抱いていました。
振り返ってみると最初に書いたドラマレビューは「期待はずれ」という主旨のものでした。
そして、4月からフジテレビの月9で、問題の『月の恋人~Moon Lovers~』が始まったわけです。
改めてレビューを読んでみると、初回から容赦なく辛辣なことを書いているなぁ・・・と我ながら感心しています(^^;。

昨年になってドラマのレビューを本格的に書き始めたのは、この作品の出来が目に余ったからという消極的理由であって、
いよいよ十数年にわたって視聴してきた月9に見切りをつけなければならないかも知れないとさえ思い始めていました。
そんなときに出会ったのが、『流れ星』でした。

観る前の印象としても、これまでの月9とは違ったテイストのドラマになるのではないかと期待していたのですが、
私はこのドラマの初回冒頭の10分でその印象が間違っていなかったことを確認しました。
NHK以外のドラマでは初めてしっかりとしたレビューらしい文章を真剣に書かなければならないと思わせてくれました。
しかし、当初はここまでのドラマになるとは思ってもみないことで私の想像力をはるかに超えたドラマだったということは、
最終回の長大なレビューを書きながら強く実感するに至りました。そして、素晴らしいドラマを観て作り手の意志と向き合い、
真剣にレビューを書くということがこんなに楽しいものだったということを初めて知りました。

今年も、ドラマのレビューも積極的に書いていきたいとは思いますが、
こればかりは、書きたいと思わせるドラマに出会えなければ始まりません。

もちろん質の悪いドラマに出会って、作り手に物申さなければならないと感じたら、酷評もしてくつもりです。
映画のレビューも同様で、レビューは書きたいと思わなければ書けないというのが本当のところです。
実際、観てもレビューを書か(け)ない作品の方が圧倒的に多いのです。
したがって、今年もレビューの更新は不定期になります。ご了承ください。

最後に、『流れ星』のレビューを執筆することで、
多くの方に映画やドラマを作っている人たちの真摯な想いを伝えられたと実感できたのが昨年中、最大の出来事でした。
ポリシーを曲げずにこのブログを続けていて本当によかったと思っています。
そのきっかけとなった『流れ星』に感謝するとともに、私の文章を読んでくださった多くの方に感謝したいと思います。
私の『流れ星』のレビューを丁寧に読んでくださった皆さん、そしてコメントをくださった皆さん本当にありがとうございました。
これからも暇を見つけて当ブログにご来訪いただければ本当に励みになります。
本年もよろしくお願い申し上げます。

ジャ


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むーにゃ

ジャニスカさん、2011年の幕開けですね。今年は、折りあるごとに訪問させていただきたいと思っています。毎回、楽しみにしておりますので、こちらこそ、よろしくお願いします。

2011年、年明け早々、お忙しいにも関わらず、『流れ星』のコメントを、丁寧に返していただき、有難うございました。コメントいただくと同時に、拝読させていただきました。

私は、以前からの、竹野内さんの大ファンなので、『流れ星』を観る姿勢として、最初から信頼があったのだと思います。なので、あまり、深く考えることもなく、感性として受け入れていた部分があります。ファンというものは、制作側にとっては、かなり心強い味方だと思うのです。多少不出来でも、観続けてくれるので。だから、私にとって、『流れ星』が一番なのは、いわば当たり前の結果ともいえるわけで、そういう意味では、ジャニスカさんの(たぶん公平な)評価は、とても嬉しいのです。

そんな私も、今年は、いろいろな角度から、ドラマや映画が観れるような、そんな楽しみ方をしていきたいな、と思っているところです。なので、ジャニスカさんのレビュー、楽しみにしていますね。

余談ですが、『月の恋人』のレビュー、読ませていただきました。なぜ、それだけ抜粋して読んだのかというと、私も以前からキムタクの出る作品はみんな同じ人物に見えて、全然楽しめなかったから、他の人はどうなんだろう?と興味があったからです。でも、キムタクの出るドラマは、視聴率がずば抜けていいんですよね。その理由は、なんなんだろう?と常々考えていました。ファンには、主人公がキムタクそのものである事が重要で、安心するのだという結論なんですね。視聴率命であれば、この手法は変わらないのでは。ということは、キムタクのファン以外は、確実に週に一時間の空白の時間は覚悟しなければならないという事になりますね。

今年は、いいドラマ、映画がたくさんあると嬉しいです。
では、次のレビュー楽しみにしています。
それまでは、2010年分のレビュー、コツコツ読ませていただきます。
by むーにゃ (2011-01-03 20:02) 

サンタ

 ジャニスカさん、明けましておめでとうございます。

 昨年は「流れ星」を通してジャニスカさんのブログを知り、ドラマを何倍も楽しむことが出来ました。ジャニスカさんの鋭い分析、解説、がとても素晴らしくて「そうそう、そういううこと!」とか「そこが素敵だったあ!」と個人的に思うばかりだったことを改めて書いてくださっていてとても幸せな気分でした。(笑)

 お正月の新聞に女性の脚本家何人かの方が対談をされていました。 

 恋愛ドラマが肩身の狭い時代だそうです。刑事物や医療物が花盛りで、登場人物に思い切り感情移入し、次週を待ちわびるようなかつてのドラマがなくなっていると。

 心の機微を楽しめるドラマが少なくなっている背景には作り手が集中して画面を見てもらえているか不安で、表情やしぐさで伝えるよりは敢えて台詞で「好きだ」と言わせ、微妙なニュアンスで伝えることを恐れているようだとも。

 と同時に今作られているドラマは、分りやすさに走って視聴者に「想像力」を喚起させないものが多いのだそうです。

 
 私は素人ですので偉そうなことは言えないのですが、この様な状況はやはり「視聴率」と言うものに縛られて、ある程度数字を期待できる「コミック」のドラマ化やアイドルを持ってくるという安易な作り方に原因があるのではないかなと思うのです。 

 昔は良かったなどと懐古趣味で言うのではありませんが、私が若かった頃には 本数は少なくても見ごたえのあるドラマがもう少しあったように思うのです、。オリジナルの脚本家によるものがもっと多かったような気がします。

 作り手はもっと視聴者を馬鹿にせず信じて作ってほしいなと思ってしまいます。良いものは良いと分るのです。その証拠に「流れ星」が月9にしては地味だと期待度は低かったのに終わってみればかなりの高評価を得たのではないでしょうか?皆次週が楽しみでしたよね。

 現代に欠けているものの一つに「想像力」があると思います。 子供の世界にも「想像力」があれば「いじめ」の問題も少なくなるのではないかなあと何時も思っています。相手を思いやる気持ちは「想像力」が欠如していると育ちませんよね。

 本を読むことも「想像力」を喚起しますね。

 話がそれてしまいました・・・。 今年も我々の心の琴線に触れる素敵なドラマに映画にめぐり合いたいと願っています。そしてジャニスカさんの素敵な文章を読むことをとても楽しみにしています。

 またお邪魔しますね。
by サンタ (2011-01-03 20:48) 

Sho

明けましておめでとうございます。
ジャニスカさんのレビューに出会えてとてもよかったです。
又今年もいろいろなドラマや映画について語り合いましょう。
by Sho (2011-01-04 08:20) 

ジャニスカ

むーにゃさん、年明けから早速のご来訪ありがとうございます!
年初は特に忙しかったわけではないのでご安心ください。年末の方が大変でした、、、
こちらこそレビューを丁寧に読んでいただけて、本当に嬉しかったです(^^)。

レビューを書くときは自分の価値基準を信じて、良いものは良い、悪いものは悪いとはっきり言えるようにしたいと思っています。また、良し悪しを言いっぱなしではなくて、常に客観的視点を踏まえて、論理立ててレビューを書きたいと考えています。私も大好きな俳優さんや監督がいますが、好きだからこそ悪いところ悪いと積極的に指摘していきたいとも思っています。たまに目の敵のように酷評する作品もありますけど、それは作り手の不純な意図が見えたときです。私は昔からフジテレビのドラマが大好きですから、『月の恋人』のレビューにはそういう意識が反映されていたかもしれません。

『月の恋人』のレビューは『流れ星』とはまったく異なるテイストなので驚かれたんじゃないでしょうか(^^;。『月の恋人』は木村拓哉さんの俳優人生において大きなターニングポイントとなる作品だったと思います。テレビ局の意識として、あの視聴率では今後彼を起用するのはリスクが大きいと考えるはずです。普通ならあの視聴率でも十分すぎるのですが、彼が出演するドラマは通常のドラマよりも予算が高騰しているのは明らかですから、そもそもスポンサーが倦厭するでしょう。私は、木村拓哉さんは2度と月9には登場しないとまで考えています。

今年も『流れ星』のような素晴らしいドラマに出会いたいと思っていますが、あのレベルのドラマにはそうそう巡り会えないでしょう。その意味では従来どおり映画のレビューが中心になっていくと思います。それと、すべてのレビューは作品をご覧になられてから読んでいただきたいと思っています。書いていることがあまりにも細かいので・・・(^^;、よろしくお願いします。過去のレビューにもコメントお待ちしています!

by ジャニスカ (2011-01-04 22:12) 

ジャニスカ

サンタさん、あけましておめでとうございます。
新しい『流れ星』の楽しみ方をお伝えできてよかったです(^^)。
『流れ星』は再度鑑賞したら、また別のレビューが書けそうな作品です。
特に序盤のレビューはもう一度書き直したい気持ちもあるんですが、まだもう一度作品を見返すモードになっておりません、、、(^^;。

>お正月の新聞に女性の脚本家何人かの方が対談をされていました

私は拝見していないんですが、中園ミホさんが参加されてませんでしたか?
中園さんは大好きな脚本家のひとりなんですけど、以前見たテレビの対談でテレビ局にいくら企画を提出しても一向に通らないと嘆いていらっしゃいました。多くの脚本家がテレビドラマの現状分析を出来ているんでしょうけど、それに迎合した作品を無理して書いているようにも思えて本当に残念です。たとえば中園ミホさんは恋愛ドラマでこそ、その実力が生きてくる脚本家だと思うのですが、最近の作品は正直トホホ・・・です。中園さんがテレビ局に提出して却下された作品というのはおそらく恋愛モノだと思います。

近年のテレビドラマについてはサンタさんが書かれていることに同感です。テレビ局が考えるドラマと視聴者が求めるドラマに微妙な齟齬があるのは間違いないと思います。「流れ星」はある部分では原点回帰のドラマだったと思うのです。私も本を読むように想像力を働かせながら観る映画やドラマに魅力を感じます。多くの視聴者がそういうドラマを求めているということを「流れ星」が証明してくれたんだと思います。そして、作り手は視聴者の想像力にもっと頼ってもいいということに気がついたはずです。「流れ星」の成功が業界全体にいい影響を及ぼしてくれればいいんですけどね。

レビューを書きたいと思わせる素敵なドラマに出会えることを期待しつつ、今年も始動したいと思います。。。
またのご来訪お待ちしています!

by ジャニスカ (2011-01-04 22:16) 

ジャニスカ

Shoさん、あけましておめでとうございます。
今年はShoさんの映画やドラマの感想もお聞かせください。。。
特にオススメの連続ドラマがあればまた紹介させていただきますので、
まだまだテレビドラマに失望しないでください!
by ジャニスカ (2011-01-04 22:17) 

テンコ

明けましておめでとうございます。
昨年は観たドラマについてお話することができて、本当に楽しかったです。
また、ドラマについて勉強になりました。ありがとうございました。
今年もよろしくお願いします。

デキの悪いドラマを批判するのも、ドラマの作り手に反省を与え、次のドラマ作りに生かしてもらえるかもしれませんよね。
これからは「流れ星」のような名作をどんどん作ってもらいたいものです。
あんまりアメリカドラマの真似をしないで欲しいです。最近は警察、検察、税務官などのお仕事物が多すぎるので、私の好みとしては夢のあるものが増えるといいなあと思っています。
by テンコ (2011-01-07 14:03) 

ジャニスカ

テンコさん、あけましておめでとうございます。
こちらこそ今年もよろしくお願いします。

私の批評が作り手に直接的に届いているとは思いませんが、
つまらないドラマをつまらないとはっきり言うことがもっとも作り手の心に響くものです。
テレビドラマは、作り手の自己満足だけでは成立できませんから。
私は批判するにしても具体的な論拠を示すようにしていますが、
そもそも面白いドラマを作る方法論は彼らが考えなければならないことです。
そして、「流れ星」は素人の想像力を上回る新しい手法で作られたドラマだったということになると思います。

海外ドラマの模倣や職業ものは、もう我々の心には響かなくなっています。
今クールのドラマラインナップを見る限り、テレビ局はまだそのことに気がついていないようですが・・・。
その場限りのドラマではなく、我々にとって「一生もの」になるようなドラマを作って欲しいですね。

by ジャニスカ (2011-01-07 20:30) 

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