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(9)最後から二番目の恋 [ドラマレビュー]

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『 最後から二番目の恋 』
第9回
( 2012年 フジテレビ 公式サイト

演出:谷村政樹 脚本:岡田惠和 出演:小泉今日子、中井貴一、坂口憲二、内田有紀、飯島直子

前回、本作のみどころのひとつが緻密な構成にあると述べたのですが、
その矢先の今回は、冒頭から千明(小泉今日子)と和平(中井貴一)の衝撃的キスシーンを見せて、
次のシーンはその20時間前に遡るという時間倒置という手法を持ち込んできました。

今回の演出担当者は谷村政樹監督でしたが、この「先に見せちゃう」という感覚は、
宮本理江子監督が演出した『流れ星』の第8話に近いものがあります(このときは前回の次回予告を利用した)。
もちろんこれは岡田さんが用いた脚本上の技法の可能性もありますが、私は演出の領域ではないかとほくそ笑んでいます。
全部撮り終えた後でも、編集段階で構成をいじるのは難しいことではありませんから。

さて、ストーリー上は主人公二人の関係性は劇的な転換点を迎えたといっていいでしょう。
これは「キスをした」という事実によるものではありません。
それ以前に互いの違いを認め、互いの価値を尊重したという点が重要で、
この場合、キスという行為は「その結果」と考えるべきです。
その証拠に次回は、「事実はなかった1度目」とは異なる二人のリアクションが見られるはずです。

前回までの二人の関係性の描写を振り返ってみると、
二人の会話とは、ほとんどが互いの価値観の相違に端を発するもので、
二人がその相違を認めなくてもちゃんと会話が成立するというところに大きな意味があったわけです。
それがどうでしょう。今回は二人が互いの価値観の相違を認めるところから会話が始まったのです。
キスという行為に対する和平の反応は、千明にとっては新鮮なもので、彼女はそのことを素直に和平に伝えるのです。
一方で和平は、千明が弟や妹の心を掴んでしまったことに自分が持たざる人間的魅力を見出します。

「違いを認め、相手を尊重する」

これは、人間関係において一歩も二歩も踏み込んだ状態であることはなんとなくお分かりいただけると思います。
そしてこれが男女関係であるとすれば、当事者同士に恋愛感情が生まれるお膳立てはいよいよ整ったということになるでしょう。
あと2回を残して千明と和平の関係はすでに転換しているということを念頭に、二人の「最後の恋」に至る過程を見守りましょう。

関連記事 : (11)最後から二番目の恋 (2012-03-24)
(8)最後から二番目の恋 (2012-03-08)
(6)最後から二番目の恋 (2012-02-23)
(5)最後から二番目の恋 (2012-02-16)
(4)最後から二番目の恋 (2012-02-09)
(3)最後から二番目の恋 (2012-02-02)
(2)最後から二番目の恋 (2012-01-26)
(1)最後から二番目の恋 (2012-01-15)


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