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(6)最後から二番目の恋 [ドラマレビュー]

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『 最後から二番目の恋 』
第6回
( 2012年 フジテレビ 公式サイト

演出:宮本理江子 脚本:岡田惠和 出演:小泉今日子、中井貴一、坂口憲二、内田有紀、飯島直子

今週は本作がコメディでなければならない理由について言及するつもりでしたが、
とてもよくできたシーンがあったので、そちらを紹介することにしました。

和平(中井貴一)と千明(小泉今日子)がフレンチレストランで食事をするシーンは、
それだけで「ひとつのドラマ」として成立するほどの濃密な情報が詰まった素晴らしいシーンだったと思います。
表面的には第1話以来本作のみどころとなっている和平と千明の丁々発止のやり取りが痛快ですが、
一見して不毛とも思える会話には、濃密で深い意味が込められています。

このときの二人の会話は二人の価値観の違いを表現しているようにも見えますが、
細部を掘り下げてみると、実は二人がまったく同じことにこだわって生きている(きた)ということがわかります。
老眼、注文の仕方、異性に対して要求するもの・・・そして何より二人の会話が成立しているというところが重要です。
盛り上がった二人の会話は第三者によってとがめられます。傍から二人のことを見たら「仲がいい」としか思えないでしょう。

しかしこのとき千明がバツの悪い思いとともに感じたのは、
「こんなんだから馬が合う人がなかなか見つからない」というもので、もうこれは確信犯的な台詞でしょう。
これに和平が同意すると、当の二人の気持ちが上記の「第三者的な感覚」とは無縁のところにいることが表現されます。
そして、極め付けが二人がまったく同じものを注文するというオチです。
結局このシーンでは、「会話の成立」「こだわりという意味での価値観の同一」「食べ物の嗜好」・・・
二人の実感とは裏腹に、和平と千明はあらゆる面で馬が合うということが証明されたわけです。

今回の構成が優れているのが、序盤におよそ6分もの尺を割いたこのシーンが持つ意味を際立たせるシーンが
終盤にかけて二つ用意されている点です。和平が大橋親子とそれぞれ食事をするシーンを思い出してみてください。
大橋秀子(三保純)とのシーンでは「こだわり」や「異性に対して求めるもの」の相違が明らかになり、
和平は秀子の物言いにわだかまりを持ちます。また、知美(佐津川愛美)との食事シーンは千明と同じレストランですが、
これは明らかに先のシーンと対比させるために用意されたシーンでしょう。
知美との会話の端緒は千秋の時と同じあってもこれといって盛り上がらず、食べ物の嗜好も異なるわけです。

今回はコメディという意味でもストーリー構成という意味でも、衝(笑)撃的だった第1話と並ぶクオリティの高さだったと思います。
私は序盤のレストランのシーンを何度も繰り返し観てしまいました。

関連記事 : (11)最後から二番目の恋 (2012-03-24)
(9)最後から二番目の恋 (2012-03-15)
(8)最後から二番目の恋 (2012-03-08)
(5)最後から二番目の恋 (2012-02-16)
(4)最後から二番目の恋 (2012-02-09)
(3)最後から二番目の恋 (2012-02-02)
(2)最後から二番目の恋 (2012-01-26)
(1)最後から二番目の恋 (2012-01-15)


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