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(3)最後から二番目の恋 [ドラマレビュー]

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『 最後から二番目の恋 』
第3回
( 2012年 フジテレビ 公式サイト

演出:宮本理江子 脚本:岡田惠和 出演:小泉今日子、中井貴一、坂口憲二、内田有紀、飯島直子

意味深なタイトルに込められているものがおぼろげながらわかりはじめた第3話。
本作は、主人公二人が「最後の恋」にたどり着くまでの物語と考えていいようです。
その意味では『まだ恋は始まらない』のプロットに通じるものも感じます。
目下二人が突入している、あるいは突入しつつある恋は「最後の恋」のための布石にすぎないので、
私としてはあくまでも主人公二人の関係性に現れる「微妙な変化」に注目していきたいと考えています。

今回二人が直接絡んだ主なシーンは二つ。
二人の関係性だけに注目すれば、冒頭の朝食(前)のシーンは、前回までの二人の関係性を確認させる意味合いがあって、
もうおなじみの不毛な(?)やり取りが繰り広げられます。そんな二人の関係に微妙な変化が現れるのが、
千明(小泉今日子)が勤めるテレビ局に和平(中井貴一)が訪ねてきたシーンです。

そもそも和平が千明の職場を訪れた理由とは何でしょうか。
お隣同士なのだから、わざわざ東京まで足を運んでの「お詫び」が建前なのは明らかでしょう。
明確な描写や台詞はありませんが、直前のシーンにおける弟・真平(坂口憲二)との会話を考慮すると、
和平は弟との「恋」に熱を上げる千明のことを内心は羨ましく思っていたのかもしれません。
潜在的な「恋」への願望が和平の中に芽生え始め、刺激を求めて千明に会いに来たと解釈することも可能だと思います。
このシーンで見せた和平の「素直さ」の根拠とは、ここにあったような気がしています。

もうこの時点で前回まで、もっと言うと今回の冒頭までの二人の関係とは、
その性質が変化しているのは明らかですが、そのことをわかりやすく表している台詞がありました。
いつにも増して素直な和平をからかう言葉の後に、千明が継いだこの台詞です。

 「ちょっと、ジャブ打ってみました」

この言葉に笑いあう二人の姿からは、この二人がもはやこの種の会話を楽しんでいるということが窺えます。
そして、この直後に和平が千明に対して「本音」を語りだしたのは、千明に心を許した証拠です。
和平は「恋をすること」への憧れを千明に吐露し、「ファンキー」というキーワードで表現される刺激を獲得するのです。

女性を食事に誘うというその後の和平の行動は、千明に出会う前では想像もできなかったはずで、
今回、二人の関係は相互の人生に緩やかに影響を及ぼしあうものへと変化したのです。
本作が主人公二人の恋愛を描くのではなくて、二人の恋愛が始まるまでを描く物語であるとすれば、
今後も二人の距離感に現れる緩やかな変化に注目していくのがこのドラマのひとつの楽しみ方だと思います。
当面、二人の関係が目指す方向性は、「何でも話せる友人関係」といったところでしょうか。

さて、私は今週、映画『麒麟の翼』を鑑賞したのですが、中井貴一さんのお芝居に大いに心揺さぶられてきました。
映画の役柄と本作の役柄は、もちろん全然違うキャラクターなのですが、
その年恰好やヘアースタイル、あるいはスーツ姿といった外見には大差はありませんでした。
しかし、私は後で気が付いてとても不思議な気持ちになりました。
映画を観ているときは、こんなにインパクトのある長倉和平というキャラクターを思い出すことは一切なかったし、
逆にドラマを観ているときは、あんなに心揺さぶられた中井貴一さんのお芝居を思い出すこともない。
その外見に反してこの二つの役柄が全然結びつかないところに中井貴一さんのすごさを思い知った気がしています。

関連記事 : (11)最後から二番目の恋 (2012-03-24)
(9)最後から二番目の恋 (2012-03-15)
(8)最後から二番目の恋 (2012-03-08)
(6)最後から二番目の恋 (2012-02-23)
(5)最後から二番目の恋 (2012-02-16)
(4)最後から二番目の恋 (2012-02-09)
(2)最後から二番目の恋 (2012-01-26)
(1)最後から二番目の恋 (2012-01-15)


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