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2014年第1四半期のドラマ [ドラマレビュー]

2014年の第1クール、私が最後まで視聴したドラマの一覧と評価です。

TermTitleKey StationCastScriptC.D.RatingOwn Rating
1紙の月NHK原田知世篠﨑絵里子黛りんたろう6.78%★★★★★
チーム・バチスタ4 螺鈿迷宮関西テレビ伊藤淳史、仲村トオル後藤法子今井和久11.41%★★★☆☆
僕のいた時間フジテレビ三浦春馬、多部未華子橋部敦子葉山裕記10.07%★★☆☆☆
鼠、江戸を疾るNHK滝沢秀明 忽那汐里大森寿美男黛りんたろう7.30%★★★☆☆
医龍4フジテレビ坂口憲二浜田秀哉田中亮12.10%★★★☆☆
ロストデイズフジテレビ瀬戸康司、石橋杏奈徳尾浩司河野圭太5.90%★★☆☆☆
なぞの転校生テレビ東京中村蒼、本郷奏多岩井俊二長澤雅彦%★★★★
戦力外捜査官日本テレビ武井咲、TAKAHIRO鴻上尚史中島悟11.23%☆☆☆☆
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー < 参考 > ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
足尾から来た女NHK尾野真千子池端俊策田中正9.55%★★★★
下町ボブスレーNHK(BS)青柳翔、南沢奈央尾崎将也一色隆司-★★★★
その日のまえにNHK(BS)佐々木蔵之介、檀れい中谷まゆみ国本雅広-★★★★
 ※ 脚本担当者が複数いる作品については、トップクレジットを表記した。 ※ 視聴率は全話の加重平均値(ビデオリサーチ社、関東地区)。

ジャニスカ的最優秀作品賞
 『 紙の月 』
(NHK=Shin企画)
 
 <優秀作品賞>
『なぞの転校生』
(テレビ東京/「なぞの転校生」製作委員会)
 

【 作品 】 この四半期ごとのドラマレビューを書くようになって以来、全体的な作品のレベルが最も低調だったが今クールと言うことになります。特に民放のドラマは大惨事と言っても過言ではない状況で、来期は民放のドラマプロデューサーに奮起してもらわなければなりません。BSのドラマ枠や特集ドラマまで含めても、総じてNHKのドラマのクオリティが高いという結果はいつものことです。

『紙の月』(NHK)は、一流作家の小説を原作としているだけあって、ある種の生々しさを持った優れた人間ドラマに仕上がっていました。最終的な余韻という部分では同じく角田光代の小説を原作とした『八日目の蝉』(2010年/NHK)には及ばなかったものの、普通の主婦が巨額の横領行為に手を染めていく過程が、彼女が置かれている状況や複雑な感情の揺れ動きの中で説得力を持って描かれており、その常軌を逸した犯罪行為とは裏腹に、主人公の心情には共感できる部分も多くありました。この点は原作小説が狙ったテーマをドラマ制作者が適確に汲み取って表現した結果だと想像しています。ちなみに『紙の月』は、宮沢りえさん主演で、2015年の映画化が決まっています。吉田大八監督がドラマではやや欠いていた深い余韻に導くカタルシスを演出してくれることを期待しています。

『なぞの転校生』(テレビ東京)は、説明が必要な描写が少なからず存在するやや難解なストーリーでしたが、説明のための台詞を極力排除、ないし説明を台詞の中に巧みに織り込んでおり、あくまでもSFの世界観というシチュエーションの中で繰り広げられる青春ドラマに主眼を置いた物語でした。映画的な表現手法を採用したことによって、我々は絵解きや物語の行間を読む作業を楽しめたし、同時に将来有望な若手俳優たちの瑞々しいお芝居が映像に刻まれることになりました。

さて、この他の民放のドラマでは、フジテレビと関西テレビの看板シリーズ2作品が鑑賞に堪えるクオリティをなんとか堅持したものの、それ以外の作品は見ていてあくびが止まらないレベルであり、すごく大雑把に表現すれば「何も感じなかった」というのが正直なところです。『僕のいた時間』(フジテレビ)は、ALSという難病を二人の愛の前に立ちはだかるドラマ制作上の単なる「障害」のひとつに仕立ててしまった点が悪質で、これは病気を取材したフィクションとしては最悪のパターンと言ってよいでしょう。『ロストデイズ』(フジテレビ)と『戦力外捜査官』(日本テレビ)は子供だましもいいところで、真剣に観る意味も価値も最後まで見出せませんでした。特に『戦力外捜査官』はもっと深い時間ならともかく、ゴールデンタイムの放送に堪えるレベルのドラマではなく、近年稀に見る駄作の烙印の押しておきたいと思います。

ジャニスカ的最優秀脚本賞
 篠﨑絵里子
(『紙の月』)
 
 <優秀脚本賞>
(該当者なし)
 

【 脚本 】 篠﨑絵里子さんは、女性の心情を掬い取るのが上手な脚本家として定評がある方で、私は2012年に映画『ガール』(深川栄洋監督)、『眠れる森の熟女』(NHK)と立て続けに観て、篠﨑絵里子さんの作風の大ファンになってしまいました。『紙の月』はテーマそのものはこれらの作品と大きな違いはなくても、硬派な表現を要求される作品ではありました。主人公のみならず、彼女の友人たちが日常的に抱えている苦悩や鬱屈、葛藤といった女性ならではの心情をシチュエーションの中に巧みに織り込んでおり、多くの女性たちの共感を呼んだのではないでしょうか。本作においては主人公のモノローグに代表されるように文学的な表現も光りました。

ジャニスカ的最優秀監督賞
 長澤雅彦
(『なぞの転校生』)
 
 <優秀監督賞>
(該当者なし
 

【 演出 】 映画の手法を取り込んだ『なぞの転校生』の演出は、VFXなどの新技術に極力頼ることなく、創意工夫によって古典的なSFの世界観を描こうとしていた点を高く評価しています。また、俳優の芝居に大きく依存した1カメ撮りと長回しの多用によって、登場人物の心情を重視した物語に仕上がっており、画的な目新しさに走ったステレオタイプなSFドラマに終わらせませんでした。オールロケと自然光を生かした画作りに音楽はほぼショパンの「雨だれ」のみという、テレビドラマではなかなかお目にかかれない独特の手法が観ていて大変心地の良い世界観を演出してくれました。

ジャニスカ的最優秀主演男優賞 ジャニスカ的最優秀助演男優賞
(該当者なし) (該当者なし)
<優秀主演男優賞>
本郷奏多
(『なぞの転校生』)
 <優秀助演男優賞>
満島真之介
(『紙の月』)
桐山漣
(『ロストデイズ』)

【 男優 】 本郷奏多くんは「SHIBUYA DEEP A」の出演などを通じてその存在を知っていましたが、お芝居をちゃんと見たのはこれが初めてでした。感情を持たないアンドロイドという難しい役どころを独特の存在感で表現していて、本作の成功に大きく貢献していました。決して少なくなかった長台詞にも淀みなく対応していたし、人間らしさを排除しつつ、愛らしさのようなものを感じさせるというレベルの高いお芝居をしていたと思います。満島真之介くんはWOWOWのスペシャルドラマで一度だけ拝見したことがあったものの、お芝居をがっつり見たのはこちらも初めて。お姉さんと同様にテクニックというよりも内からにじみ出てくるような何かを持っている俳優さんで、不思議な魅力がありました。穏やかな性格だった役柄が主人公との関係の中で正常な金銭感覚を失って終盤には豹変するのですが、そこまで来て初めてできる子だなと思うようになりました。『ロストデイズ』に見どころがあったとすれば、桐山漣くんのお芝居ということになります。妹を愛してしまったという言ってみれば変態の役だったわけですが、彼のスマートさと不気味さの両面表現がはまらなかったら、無味乾燥な三流サスペンスドラマと化していたでしょう。

ジャニスカ的最優秀主演女優賞 ジャニスカ的最優秀助演女優賞
原田知世
(『紙の月』)
 (該当者なし)
<優秀主演女優賞>
(該当者なし)
  <優秀助演女優賞>
(該当者なし)

【 女優 】 原田知世さんは久しぶりにテレビで拝見しました。映画では『しあわせのパン』(2012年)が記憶に新しいですが、実は率直に言ってつまらない芝居をする女優さんになってしまったとまで感じていました。しかし本作を見て、あれは作品そのものの欠陥と監督の演出力の欠如によるものと思い直しています。本作においては特別な役作りをなさっていたという印象はありませんが、世の中にはこういう女性がたくさんいるという普遍性と説得力のようなものを体現していた点は本作のテーマ表現に大きく貢献していたと思います。

ジャニスカ的最優秀音楽賞 ジャニスカ的最優秀主題歌賞
吉川慶・澤野弘之・河野伸
(『医龍4』)
 (該当なし)

【 音楽 】 手術エンタテインメントと言ってもよい『医龍』シリーズは、もともとオペシーンの緊迫感を盛り上げる音楽に強いこだわりを持った作品ではありましたが、『医龍4』では作曲家が3人になったこともあり、音楽の演出に対する貢献度は相変わらずの高さでした。

関連記事 : (2014-1)ドラマ期待度ランキング (2014-01-05)


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