(2)流れ星 [ドラマレビュー]
『 流れ星 』
第2回
( 2010年 フジテレビ 公式サイト▼ )
演出:宮本理江子 脚本:臼田素子、秋山竜平 出演:竹野内豊、上戸彩、北乃きい、松田翔太、稲垣吾郎
ご覧になりましたでしょうか、今回のラストシーン。主題歌をかぶせたエンドクレジットが終了してから、もう1シーンあるというのが今回の構成でしたが、このラストシーンは、連続ドラマの醍醐味とも言うべき、次週への期待感を大いに盛り上げる素晴らしいシーンに仕上がっていたと思います。前回は触れることはできませんでしたが、第1話もこれと同じ構成になっていたと思います。
岡田健吾(竹野内豊)が妹・マリア(北乃きい)の命を救うために槇原梨沙(上戸彩)に形式的な婚姻を依頼するというのが今回のあらすじで、健吾が梨沙の抱える事情(=兄の存在)を知って婚姻を諦めかけていたところに梨沙が訪ねて来たのがラストシーンということになります。注目すべきは、エンドクレジットが終わる頃には、今回のストーリーはほとんどまとまっているというところです。それにもかかわらず、もう1シーンあるところが連続ドラマの特性を見事に生かしきった脚本と演出だったと言えると思います。
そのような「まとめ」の印象にはエンドクレジットとコブクロさんの主題歌が大きく貢献しているわけですが、健吾が勤める水族館に梨沙が訪ねてきたところで、主題歌がぶっつりと途切れます。そこから始まるラストシーンでストーリーが大きく動くというところに、私は作り手の高度なテクニックを見た気がしています。
こういう脚本構成は、一昔前はそんなに珍しいものではなかったと思いますが、近年のテレビドラマは、1話完結型のストーリー構成が多く、連続ドラマの醍醐味というものを感じることが少なくなりました。そのような近年のテレビドラマ界の趨勢の裏側には、各話の結びつきを強くし過ぎてしまうと視聴者の途中参加を阻害し、視聴率が落ち込んだ場合に盛り返すのが困難になるという製作者の守りの姿勢が介在していると考えられます。
それでも視聴率が低迷している月9が、連続ドラマの伝統的な手法に回帰しているのは、開き直りと捉えることもできるかもしれませんが、視聴率なんか知ったことではない、いち視聴者からすれば、これによってこの作品が高いクオリティに仕上がってくれれば何にも言うことはありません。今回のラストシーンを見て、私は純粋に次回が楽しみだと思ったし、そのような連続ドラマならではの感覚を久しく忘れていたので、ちょっと興奮気味といったところです。
今回のラストシーンについては演出面にもぜひ触れておきたいところです。今回もエンドクレジットが終了してから、かなりの尺がありました。主人公二人の関係がやっぱり切れかけたように見えたところで、もう一度つながるという大きな展開を見せて、次回にブリッジしていくわけですが、そのような新展開を巧みに印象付けていたのが、主題歌の再導入でしょう。
「私にはあんたしかいねぇんだよ!」
一度は切れたと思われた二人の関係を、この梨沙の言葉がつなぎとめます。梨沙のこの台詞に最前ぶっつりと切れた主題歌のサビが被せられることによって、二人の「つながり」を巧みに盛り上げて、二人の「これから」にも大きな拡がりを感じさせてしまうのは、ひとえに演出の力だったと思います。そして、この言葉を聞いた健吾が婚姻届に署名したところで終了。今回も黒みへのフェードアウトで終わっていました。
私のドラマ主題歌へのこだわりについては以前にも述べたとおりで、はっきり言ってこれはお手本のような主題歌の使い方だと思います。この絶妙な主題歌の入り方も、私が興奮を禁じえないの理由のひとつかもしれません。
最後に、本作には脚本協力として、ベテランの伴一彦先生が参加していますが、このようなストーリー構成は、伴先生の力添えというものが多分に感じられる部分であるということも指摘しておきます。
とにかく来週が楽しみ。久々にこういう感覚を味あわせてくれるドラマに出会えて私は単純に嬉しい限りです(^^)。
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