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(1)流れ星 [ドラマレビュー]

流れ星 完全版 DVD-BOX

[ DVD-BOX ]
流れ星 完全版

( ポニーキャニオン / ASIN:B0045UADVM )

『 流れ星 』
第1回
( 2010年 フジテレビ
 公式サイト
演出:宮本理江子 脚本:臼田素子、秋山竜平
 出演:竹野内豊、上戸彩、北乃きい、松田翔太、稲垣吾郎

私は、本作の冒頭10分で早くも「このドラマ好き」と思ってしまいました。その理由は、宮本理江子さんの奇をてらわないオーソドックスな演出がとても心地いいからだと思います。

宮本理江子さんは、私がテレビドラマをかなりディープに研究していた時期にフジテレビの第一線で活躍していたディレクターということもあって、私の感性にとてもしっくり来るということもあるかもしれません。それと、近年のテレビドラマは、短いカットを繋いだり、カメラをやたら動かしたり、あるいは映像を加工したりといった細かい技巧に走った忙(せわ)しないドラマが多いのが食傷気味だったこともあって、久しぶりにゆったりと物語の雰囲気や役者さんのお芝居を堪能できるドラマに出会えたことがかえってとても新鮮だったということもあります。

「役者さんのお芝居を見せる」という要素は、映画監督やテレビドラマのディレクターにとって最重要課題のひとつだと思いますが、監督が技巧に走りすぎると、もっとも殺されてしまうのが役者さんのお芝居であり、若手ディレクターの中にはこのバランスを完全に逸脱してしまう方も少なくありません(⇒参考記事:おっぱいバレー)。このドラマの俳優さんたちがとても生き生きしていると感じるのは、宮本演出がジワーっとしたカメラの動きと長回しを多用していることと無関係ではないと思います。私は、そのような宮本演出の恩恵をもっとも享受できているのが主演の竹野内豊さんだと感じています。

竹野内豊さんは、90年代に一世を風靡した「いい男」俳優ですが、近年の動向を見ると、きわめて地味な印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。一昨年にTBSで主演した『Tomorrow~陽はまたのぼる~』は、数字に結びつきづらいとても硬派なドラマでしたが、私は、竹野内豊さんが俳優としての方向性を真摯に模索しているような印象を持っていました。その後は、『BOSS』や『不毛地帯』に脇役として出演し、それなりの存在感を示していましたが、どちらかといえば「キャラ立ち」した役柄ということもあって、そのお芝居の質の変化に注目することはありませんでした。

しかし、私は本作を見て、竹野内豊さんが俳優として新しいステージに到達したと感じています。その意味をわかりやすく表現すれば、竹野内豊さんは将来的に、たとえば本木雅弘さんや浅野忠信さんのような本格派俳優の道筋を歩んでいくような予感を覚えています。具体的には、竹野内さんはこのドラマで役柄の存在感にリアリティを付与するような繊細なお芝居に挑戦していて、同僚への声かけのナチュラルさや何気ない咳払い、歩みの止め方、振り返り方等々、台詞やト書きなど脚本の外側にある部分で役柄を表現しようとしていると感じます。

近年流行している「キャラクタードラマ」ではない、ストーリーで勝負する本作のようなドラマでこそ、竹野内豊さんのようなお芝居は存分に生きてくると思うし、オーソドックスな宮本演出と融合できることは、きわめて幸運なことだと思います。「ながら見」でも内容把握に何の不都合もないようなテレビドラマが多い中、本作は映像の細部や役者さんの微妙な表情の変化から一挙手一投足にまで情報があって、終始画面に釘付けになりそうなドラマです。本作のストーリーについては追って触れていきたいと思っています。

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